1987 Fiscal Year Annual Research Report
トランスグルタミナーゼによる食品タンパク質と酵素類の機能改変
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62560128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊倉 宏司 京都大学, 農学部, 助手 (00101246)
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Keywords | トランスグルタミナーゼの活用 / トランスグルタミナーゼの精製 / トランスグルタミナーゼcDNAのクローニング |
Research Abstract |
本年度は交付申請書に記載した研究計画のうち, 以下の2項目について成果をあげることができた. 1.トランスグルタミナーゼ(以下TGaseと略す)の迅速精製:モノクローナル抗体を用いた免疫アフィニティークロマトグラフィーにより, モルモット肝抽出液からTGaseをワンステップで効率よく精製する方法を確立した. この場合, 特異的に吸着した酵素の溶出条件(炭酸緩衝液, pH10.3/2MKcl)の選定が最大のポイントであった. 更にウシ血液凝固XIII因子(チモーゲン型TGase,a_2b_2)に対するモノクローナル抗体も取得し, 本因子の触媒性サブユニット(a_2)をウシ血漿から直接に分離精製するアフィニティークロマトグラフィーの確立にも成功した. これらの成果により, 精製操作が煩雑なTGaseの迅速精製が可能となった. 2.TGase cDNAクローニング:モルモット肝TGaseの部分重複cDNAクローン4個を取得し, mRNAの全長サイズ(3.7〜3.8kg)に匹敵するcDNA配列(3695塩基)を決定した. 翻訳領域のアミノ酸組成から, 本酵素の分子量は76,620と算定された. 解析したTGaseの一次構造を基にして, 活性中心配列の構造的特徴(チオールプロテアーゼ類との類似性, 疎水性領域に隣接することなど)やCa^<2+>結合部位(E-Fハンド構造よりもグルタミン残基富領域がそれに関与するのではないか)について考察することができた. 肝TGaseと血液凝固XIII因子の一次構造ホモロジー解析は, 両者における相同領域を明確にし, TGaseの活性と構造の相関関係を理解するうえでの貴重な情報をもたらした. 次のステップとしては, TGaseの菌体内発現系を確立し, 本酵素機能を蛋白質工学的に改変し, その活用領域の拡大を図かる.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Koji Ikura: Agricultural and Biological Chemistry. 51. 523-530 (1987)
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[Publications] Koji Ikura: Agricultural and Biological Chemistry. 51. 957-961 (1987)
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[Publications] 伊倉宏司: 「RIニュース」京都大学放射性同位元素総合センター編. No. 26. 1-4 (1987)
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[Publications] Koji Ikura: Biochemistry. (1988)