1988 Fiscal Year Annual Research Report
トランスグルタミナーゼによる食品タンパク質と酵素類の機能改変
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62560128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊倉 宏司 京都大学, 農学部, 助手 (00101246)
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Keywords | トランスグルタミナーゼの遺伝子工学的生産 / 組換え型トランスグルタミナーゼ / トランスグルタミナーゼのN末端アセチル化 |
Research Abstract |
本年度は交付申請書に記載した研究計画のうち、動物トランスグルタミナーゼの微生物による生産について研究を行い、以下のような成果をあげることができた。 既に取得しているモルモット肝トランスグルタミナーゼの部分cDNAクローンのうちpLTG16とpLTG21を用いて、本酵素の全コード領域をカバーする発現プラスミドの構築を行った。発現ベクターpKK233ー2のNcoI/PstI部位に翻訳開始コドンから始まるcDNA断片を組み入れることにより、非融合型の酵素蛋白質が合成されるようにデザインした。構築したトランスグルタミナーゼ発現用プラスミドpKTG1でトランスフォームした大腸菌が本酵素を合成することを、イムノブロッティング解析や活性測定により確認した。大腸菌でつくられた組換え型モルモット肝トランスグルタミナーゼを、菌体抽出液から単クローン抗体を用いた免疫アフィニティークロマトグラフィーとイオン交換クロマトグラフィーにより単離した。組換え型酵素は、分子量、アミノ酸組成、NおよびC末端配列などにおいて天然型酵素と同じであったが、N末端アラニンがアセチル化されていない点が天然型と異なっていた。比活性、基質類にたいするKm値やVmax値、Ca^<2+>の活性化にたいする感受性などにおいて、組換え型と天然型の酵素間に差は無かった。このことは、天然型モルモット肝トランスグルタミナーゼのN末端アセチル基は、触媒機能の発現において特別な役割をもたないことを示している。大腸菌での組換え型酵素の生産量は1リットル培養で約3mgであった。 蛋白質工学的手法による本酵素の構造活性相関の解析やそれに基づく酵素分子機能の改変が次の課題である。
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[Publications] Koji Ikura: Biochemistry. 27. 2898-2905 (1988)
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[Publications] 伊倉宏司: 日本農芸化学会誌. 62. 1451-1461 (1988)
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[Publications] Koji Ikura: Biochemistry. 28. (1989)