Research Abstract |
特殊な職場, 事故に関わらないかぎり, ダイオキシンの人体への主な取りこみ経路は食品と考えられる. 本研究では, 1986年の夏の分析に引きつづき, 再度, 標準食分析を行い, 更に, ダイオキシンの重要な給源である鶏肉鶏卵についても検討した. 試料は, 市内7ケ所のマーケットで7日分(21食)を食品を購入し, これらを8食品群に分け分析を行った. 以下本研究で得られた知見を列記する. 1.全ての食品群からダイオキシンが検出され, その濃度範囲は, 0.78〜60ppt, ジベンゾフランでは, 米, 小麦, 魚介類から検出され, 0.75〜1.8pptのレベルであった. 2.1日摂取量は, ダイオキシンで9500pg, ジベンゾフランで, 480pgであった. 3.2378-TCDD毒性等量換算すると, 1日摂取量は75pgとなり, 体重50kgの人に換算すると1.5pg/kg/日となり, この値は, 暫定的に定められた2378-TCDDの1日摂取許容量1〜5pg/kg/日とほぼ同レベルであった. DDT, PCBにおいては, 使用当時においても1日摂取量は, 1日摂取許容量の1/100程度であったことにくらべ, ダイオキシン染染の実態はかなり深刻な状況にあると考えられる. 4.ダイオキシン摂取量の中で最も大きい給源は野菜類であった. このことは, 日本の田畑が除草剤中の不純物ダイオキシンで汚染されていることと関係があるのかもしれない. 5.6〜7塩素化ダイオキシンの主な給源は鶏肉, 鶏卵である. その原因は配合飼料であったが, 構成成分分析の結果, 添加物である動物性油脂剤が原因かもしれない. 以上の知見から, 人体残留ダイオキシンはそのほとんどが食品由来であると決論した.
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