1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南雲 秀次郎 東京大学, 農学部, 教授 (30023401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博一 東京大学, 農学部, 助手 (70174810)
箕輪 光博 東京大学, 農学部, 助教授 (60011996)
渡邊 定元 東京大学, 農学部, 教授 (30182918)
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Keywords | 亜寒帯地域針広混交林 / 天然林施業 / 直径分布 / 樹齢分布 / 空間配置 |
Research Abstract |
1.現地調査 東京大学北海道演習林管内の50班a小班にある固定試験地5137の隣接地, および24林班b小班の固定試験地5206において毎木調査を実施し, それぞれ26本, 27本計53本の標本木を伐倒した. また, 固定試験地5206では樹木位置図作成のための測定も行った. 2.調査の整理と解析 樹幹解析資料の年輪測定は現在までにその過半を完了し, 樹高, 胸高直径, 幹材積に関してそれらの成長過程 解析している. 3.解析の結果 樹幹解析の結果明らかになった事実は以下の通りである. (1)ほとんどの林木が幼齢, 壮齢時に被圧期を経験している. (2)壮齢時に長い被期を経験した場合, その林木は後に良好な環境条件が与えられたとしても上層木となることはできない. (3)中下層にある林木は, 上層にトドマツやエゾマツがある場合つよい被圧をうける. しかし, 上層木がナラのような広葉樹の場合には被圧の影響は弱い. 4.結論 林木はいかにして陽光を受けるのに有利な空間を占めるかで林木相互の間で厳しく競争している. これは天然林, 人工林のいずれでも変りない. しかし天然林の場合, 現在中層を占めている林木のうち次代に上層を構成するものが何かということが森林施業上重大な問題となる. 中層木に比べて上層木の本数が少ないからである. 上層があいた場合次にその空間を利用できるものは過去に長い被圧期をもたずかつその空間を利用できる位置を占めている林木に限られる. こうした競争過程を経て形成される林分構造の特徴はその直径分布に現われている. 更新のよい林分で, もし適切な施業をうけていない場合, その直径分布は全体に右下りの曲線を画くが, 中径木あたりによどみが生じ曲線が脹らむ. 天然林施業とはこうしたよどみをなくすことで, その手段は林木の空間配置を調整することである. この問題が本研究の次年度の課題である.
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Research Products
(1 results)