1988 Fiscal Year Annual Research Report
山地渓流の縦断形状の形成とそれに伴う土砂の移動に関する研究
Project/Area Number |
62560147
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
駒村 富士弥 東京大学, 農学部, 教授 (30024540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝野 博文 東京大学, 農学部, 助手 (00143412)
西尾 邦彦 東京大学, 農学部, 助教授 (60011938)
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Keywords | 渓床縦断形状 / 侵食速度 / 斜面発達モデル / 砂防ダム |
Research Abstract |
渓床縦断形状の形成過程を説明するのに、従来礫径の変化を基準にしたSternbergの法則が適用されていた。しかし山地の小渓流は礫径の変化が判別できてSternbergの法則が成り立つほど長くないので、その縦断形状の形成を説明するための基本的な考え方を他に求めることにし、その一つとして渓床の侵食速度と侵食量をとりあげ、侵食速度が渓床の傾斜と傾斜の変化率に比例するとして侵食のモデル式を導いた。このモデルは前年度に、斜面上における砂礫粒子の移動に関する遷移確率から導いたモデルah/at=a(a^2h/ax^2)-b(ah/ax)と同型のモデルであり、その解によって渓床縦断形状の形成および砂防災ダム堆砂面形状の変動の両方が表現されることを示した。 また、このモデルの解によって求められた渓床縦断形状式に含まれる係数(b/a)の値は、各渓流ごとに固有の一定値となり、長さ数km以下の小渓流では、(b/a)=10^<-3.4>〜10^<-2.4>が得られた。 なお、砂防ダムの堆砂勾配の形成過程についても掃流力理論と衝突力理論の両方から検討した。 さらに、渓床縦断形状の形成および砂防ダム堆砂面形状の変動をフィールドデーターにより検証するため、大白川支流の岩井谷を例に考察した。岩井谷においては、斜面発達モデルの係数aとbの比(b/a)が0.0004となり、係数aの値が10^<m2>/year程度の場合は渓床高度の半減期が10^5〜10^6年となり、斜面発達モデルによって渓床縦断形状の形成のような小地形の形成過程が説明でき、岩井谷の土砂水理条件から求められたaの値、すなわちa=10^7m^2/yearを適用した場合は堆砂高の半減期が数年という短い時間になり、同じモデルによって砂防ダム堆砂面形状のような微地形の変動過程が説明できることを示した。
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