1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大畠 誠一 京都大学, 農学部, 講師 (50026639)
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Keywords | ブナ科植物 / 種分布の重複 / Coleの指数 / Codyの指数 / 共存関係 / クラスタ-分析 / デンドログラム |
Research Abstract |
本研究は、日本列島各地の森林調査資料約3800点を基礎デ-タとし、それらと温度条件を組みあわせて計算機(PC9801)によって様々な解析を行なったものである。 昭和62、63年度は計算機の購入、資料のデ-タ化などの準備と共に、日本列島の各森林帯(温度帯)に、樹木の種類がどのように分布しているかを検討した。その結果、種類数が最多となるのは、中間温度帯(冷温帯と暖温帯の境界付近)にあり、そのうよな構造は、氷河期以後の気温上昇にあると明らかにした。次いで、日本の森林を構成する樹木を、ふたつの生活型(葉の常緑、落葉と種類のポテンシャルな高さ)によってデ-タ整理した。その結果、森林帯としては明確な日本の森林は、その構成種の内容をくわしく調べてみると、生活型の異なる種が重なりあっていることが明らかとなった。 以上の、森林帯としての研究を受けて、当年は具体的に種の温度帯での位置、種類間の関係などをブナ科植物を例にとり、検討した。(ブナ科の植物は、冷温帯より南に分布し、日本の森林の骨格を成形する種群であるためである)ブナ科の種23種の分布は、暖温帯の上部に最多種を示す温度分布を示し、その温度帯では、落葉種と常緑種が重複して分布していた。ただし、温度帯からの研究だけでは、種類間の関係が明らかではない。そこで、ブナ科の種を取り出した際に、同じ調査区内に近縁種が共存していたかどうかを、デ-タ処理により、調べ、その結果をcodyによる重複度指数により検討した。ブナ科内の各種は、全体的にはすみわける傾向にあったが、いくつかの種は明らかに共存性が認められた。特に暖温帯の上部に分布する種では、また出現数の高い種では共存する傾向が高い。重複度指数からデンドログラム(クラスタ-分析)を行なうと、重複関係は個々に異なるものの、落葉と常緑種で分離していた。
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[Publications] 大畠誠一: "日本列島における木本植物種数分布と温度環境" 日本生態学会誌. 38. 99-110 (1988)
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[Publications] 大畠誠一: "日本列島における木本植物種数分布と温度環境II.生活型と種数分布" 日本生態学会誌(1989年12月受理).
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[Publications] 大畠誠一: "日本列島における木本植物の種数分布と温度環境III.ブナ科植物の温度分布と種間の重複度" 日本生態学会誌.