1987 Fiscal Year Annual Research Report
樹皮成分の化学修飾による高機能樹脂合成に関する研究
Project/Area Number |
62560175
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
阿部 勲 三重大学, 生物資源学部(農学部), 教授 (20024581)
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Keywords | 縮合型タンニン / 核交換反応 / タンニンのフェノール核パターン / タンニン系樹脂接着剤 / タンニンのフェノール化 |
Research Abstract |
1.タンニン試料のフェノール核パターン 縮合型タンニンを利用する場合, 高分子区分を含めた構成フェノール核に関する定量的情報を得ておく必要があるが, 適当した定量法はみあたらない. そこで, 代表的なタンニン(ワットル, ケブラコ)のフェノール核構造をFolin-Denis法, バニリン・塩酸法, GPCなどの"従来法"と標準試薬による"核交換法"の併用によって, タンニン試料のフェノール核パターンを明らかにした. 即ち, タンニン試料中の含有フェノール成分を基準にすると, ワットルのA核は85%のレゾルシノール核と15%のフロログルシノール核から成り, B核の36%はカテコール核, 64%はピロガロール核であることが判明した. 一方, ケブラコタンニンのA核のフェノール核パターンはワットルとほゞ一致していたが, B核は殆んどカテコール核から構成されていた 2.タンニンの化学修飾と常温硬化性樹脂の調製 タンニンの特性から, 常温硬化性樹脂を調製し得れば資源化に成功したと考えられるが, その可能性を探るため, フェノール化による変性を試みた. 即ち, 標準的なワットルタンニンを試料とし, 酸触媒として塩酸, トリクロル酢酸およびジクロル酢酸, フェノール化媒体としてレゾルシノール, m-クレゾールおよびフェノールをタンニン1モル(分子量:272と仮定)に対して1.17モル(タンニン:媒体=100g:40〜47g)を配合した含水系で85°C-90minフェノール化させた. 消費率の最も大きかった媒体はレゾルシノールであったが, 分子量の低下およびタンニン構成核の遊離が認められたことより, 本試験条件下においてもフェノール化と共に媒体フェノール類との核交換反応が複合しておこっており, また比較的低温条件下でも反応が進行することを認めた. なお高比重の挽板(カバ材)による常温接着性は不十分で, 改善する必要があった.
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