1987 Fiscal Year Annual Research Report
SEMステレオ画像解析法による木材および紙の破面形態に関する研究
Project/Area Number |
62560178
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
古川 郁夫 鳥取大学, 農学部, 助手 (50032313)
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Keywords | 木材 / 細胞壁 / 破断面 / 破面解析 / SEM / ステレオ写真 / 画像処理 / 三次元解析 |
Research Abstract |
木材や紙の主要構成要素である木材繊維細胞壁の破断面(壁破面)の三次元解析は, これらの材質劣化度や強度的耐久性を評価するうえで重要である. 本年度は, 研究の第一段階として, 壁破面を走査電子顕微鏡(SEM)でステレオ撮影した画像を用いて, 破断部を三次元的に計測すると同時に図形表示できるようなSEMステレオ画像解析方法の確立を目的とした. 具体的には, まず現有のSEMに取り付け可能な小型試料傾斜装置を試作し, これを用いて正確なステレオ写真を撮ること, 次に, 本解析法の精度と誤差をチェックすること, 最後に, 実際の壁破面の解析に応用し, 本解析法の有用性を検討することの3点について調べた. 以下, 結果の概要を記す. 1.±20°以内で任意の方向に試料を傾斜できる小型試料傾斜装置と既存のゴニオステージを併用することによって, 繊維軸に垂直な解析基準面の設定が容易となり, 任意の方向に傾けた壁破面の正確なステレオ写真の撮影が可能となった. 2.解析精度を支配する試料の傾け角は±0.1°以内の制御が可能であり, これによる解析誤差は3%以下であった. 入力画像の歪や画像処理時の人為的誤差は1%以下であった. 解像度は, 画像倍率5千倍で0.65μm, 1万倍で0.32μmであった. 解析値と実測値との差は3%程度であった. さらに, 撮影倍率5千倍〜1万倍, 試料傾け角±30°までの範囲では, SEM像は平行投影条件を満足していたため, SEMステレオ像は三次元解析に適していることが分った3.C-II型タイプの壁破面, 数例について, その傾斜角を三次元解析図から求めたところ, これらはいずれも壁中のslip plane傾斜角と一致していた. このことから, C-II型破壊は, slip planeのところで発生することが分った. 以上の結果, 本解析法は壁破面の三次元解析に有効な解析法であり, 次年度は解析例を多くし, 壁の破壊気候との関連性について検討する.
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[Publications] 古川郁夫: 第37回日本木材学会大会研究発表要旨集. 70 (1987)
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[Publications] 古川郁夫: 木材学会誌.
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[Publications] 古川郁夫: 第38回日本木材学会大会.