Research Abstract |
ホンダワラ類藻場の主要成種である一年生のアカモクを材料に選び, その発芽幼胚, 成長点を有する先端部分を材料として使用した. 培地としては1)滅菌ろ過海水, 2)N・P源を添加した補強海水の二種類をベースに, これにビタミン類を培地に植物ホルモンとして2,4 Dichlorophenoxy Acetic Acid(2,4D), Indole-3 Acetic(IAA), Kinetin,α-Naphthalene Acelic Acid(NAA)をそれぞれ0.01〜10mg/lの範囲の濃度で添加した. 培養は, 20°C, 2,000から3,000lux, 14時間照明(昼光色蛍光灯)の条件下で行なった. 成長点部分, 発芽幼胚の細断したものからの藻体の再生はd-NAAとIAAで, 仮想細胞の形成は2, 4Dでそれぞれ認められた. しかし, Kinetinでは明瞭な結果は得られなかった. 藻体の再生は, α-NAAの場合0.1〜10mg/lの範囲で, 殊に1〜5mg/lの範囲で顕著に認められた. 仮想細胞の形成は, 2, 4Dの濃度が0.01〜0.2MG/lの範囲で認められた. これらの結果から, ホンダワラ類の種苗として基質への付着を司る仮想細胞を備えたものを作るためには, 種苗生産用培地に2, 4Dを添加することが必要であることがわかった. また, 藻体の再生用にはα-NAA又はIAAのどちらでもよいことがわかった. 基本培地としてのろ過海水, 補強海水, ピタミン添加と無添加の四種類については, 基本的には差は認められなかった. したがって, 種苗生産用の培地としては, 滅菌ろ過海水に植物ホルモンのα-NAA又はIAAと2, 4Dを加え, 条件によっては栄養塩類とビタミン類を添加すればよいことがわかった. これらの添加物の濃度と組み合わせ方については, 目下検討中である.
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