1989 Fiscal Year Annual Research Report
組織培養法を用いた海藻ホンダワラ類の種苗大量生産に関する基礎的研究
Project/Area Number |
62560183
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小河 久朗 東北大学, 農学部, 助手 (20005656)
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Keywords | 海藻 / ホンダワラ類 / 種苗生産 / 組織培養 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
アカモク藻体を用いて種苗として必須の仮根細胞の形成、新芽の形成と植物ホルモンの種類と濃度との関係について、その最適条件を知ることを目的に実験を行なった。実験に供した植物ホルモンは、オ-キシン系6種、サイトカイニン系3種、その他3種の系12種で、これらを10^<-2>、10^<-1>、1、10、10^2、10^3、10^4μg/lの濃度になるように溶かした。これに1〜5mmの大きさに細断したアカモクの藻体を入れ培養し、藻体からの仮根形成、新芽形成の有無、頻度を観察・計測した。 仮根形成は植物ホルモンを添加した全ての実験区でみられたが、無添加区では全くみられなかった。仮根形成頻度はオ-キシン系ホルモンではその濃度が増加するに伴って高くなる直線型と飽和曲線型を、サイトカイニン系ホルモンでは凸型を示す傾向が得られた。これに対して、新芽形成に対する植物ホルモンの影響は、前者では濃度に無関係の型と凸型に、後者では凹型になる傾向が得られた。仮根形成頻度が安定して高い値を示したのは2、4Dで、その濃度範囲は10^<-2>〜10^4μg/lで、また2-NAAでは10^3μg/l以上の濃度の時だった。新芽形成頻度が安定して高い値を示したのはIAA、2-NAAの10μg/lの時だった。これら二種以外では、2、4D、IPAで比較的高い値が安定した状態で得られた。仮根形成部位、新芽形成部位について切片を作りその形態を観察したことろ、前者は表層に近い細胞が分化して仮根細胞となっており、後者は表層部に生長点が形成されていた。これらは正常な幼胚でみられる発生様式と同一であったことからして、植物ホルモンを添加することによって形成された仮根・新芽を備えたアカモク藻体は種苗しての条件を備えていることがわかった。また、組織培養に用いるのに有効な植物ホルモンは、IAA、2-NAA、2、4Dの3種で、中でも2、4Dが最も適した植物ホルモンであることが確かめられた。
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[Publications] 小河久朗,林田久美子: "アカモク切断葉体からの個体再生に及ぼす植物ホルモンの効果" 日本藻類学会誌. 38. (1990)
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[Publications] R.Yamanaka,H.Ogawa,Y.Higashiyama,K.Hayashida and T.Nomura: "Effects of hormones on the regeneration of brown seaweeds Undaria pinnatifida and Sargassum horneri" Rroceedings of International Marine Biotechnology. 1. (1990)