1988 Fiscal Year Annual Research Report
シオミズツボワムシ培養槽における微小生物の機能に関する研究
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62560187
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Research Institution | the University of Tokyo |
Principal Investigator |
日野 明徳 東京大学, 農学部, 助教授 (90012012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 貴次 東京大学, 農学部, 助手 (70159557)
小川 和夫 東京大学, 農学部, 助手 (20092174)
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Keywords | シオミズツボワムシ / バクテリアフロック / 原生動物 / エナジーフロー / ビタミンB_<12> / 食物連鎖 |
Research Abstract |
海産生物の初期餌料として必要不可欠なシオミズツボワムシ(以下ワムシ)の大量培養時に、今なおしばしば起る増殖不良、大量斃死現象を解明するために、本研究では、培養槽内生態系の構造解析を通じて細菌がワムシの増殖生理といかに関っているかを明らかにすることを目的とした。その結果、 1.パーティクルカウンターを用いてワムシ培養系の粒子サイズの分布を経時的に測定したところ、餌料として投入したNannochloropsisが存在する限りはワムシはそれを摂餌するが、食い尽くして後は細菌のフロックをNannochloropsisに対する数値の約2倍の利用率で摂餌する事が明らかになった。 2.ワムシにとって必須のビタミンであるB_<12>は餌料として用いられるNannochloropsisやパン酵母には含まれていなかった事から、その由来を調べるために水中の細菌を分離したところ、約20%の菌株にB_<12>産生性が認められ、また培養株を無菌ワムシに与えた場合にも明瞭な増殖促進作用を示した。ワムシ無菌培養に各種濃度の菌液を添加した場合、10^7〜10^<10>CFU/mlで増殖が促進され、その効果は基本餌料としてパン酵母を用いる場合よりもNannochloropsisを用いる場合に著しかった事から、パン酵母の栄養上の欠陥はビタミンB_<12>に留まらないものと考えられた。これらの細菌のB_<12>産生性は対数増殖期において1〜5ng/ml・dayであり、別に求めたワムシのB_<12>要求量が0.1pg/個体・dayである事と、通常のワムシ密度が100〜1000個体/mlである事を考えると著しく高い値である。 これらの結果から、培養系における細菌類の機能はワムシの代謝活動に伴う排出物を再び餌料化する事を通じてエナジーソースとして量的に大きな経路を担うと同時に、ビタミンB_<12>に代表される必須栄養素の供給源である事が明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jiang-Ping,Yu: 日本水産学会誌. 54. 1873-1880 (1988)
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[Publications] Jiang-Ping,Yu: 日本水産学会誌.