Research Abstract |
アマノリ属細胞壁多糖はポルフィラン, β-1, 3-キシラン, β-1, 4-マンナンから構成されている. 著者らは自然界からアマノリ属細胞壁分解酵素を産生する細菌の探索を行った. その結果, 福岡県沿岸の海藻からポルフィラナーゼ産生細菌Vibrio sP.AP-2を, 海底泥からβ-1, 3-キシラナーゼ産生細菌Vibrio sP.AX-4を, また, ニジマス腸内容物からAeromonas sP.F-25を分離した. 一般に, 細胞融合を成功させるためには, プロトプラストを大量に作出し, 再生させる技術と共に, 融合体を選別するための指標が必要とされる. 著者はアサクサノリ野生株を培養中, 葉状体が通常の赤褐色のものとは異なった緑色の変異株を単離した. また, 融合体の再生のための培養条件を検討するために, スサビノリ野生株とアサクサノリ緑色変異株からプロトプラストを作出し, それらの再生を行った. すなわち両藻の葉状体に, 上記細胞壁分解酵素を作用させ, 多数のプロトプラストを作出した. これらプロトプラストをASP_2(NTA)培地で培養すると, 約1週間で細胞分裂が始まり, 6週間で数百ミクロンの褐色と緑色のカルスに生長した. カルスから出芽した多数の幼芽を培養すると, 約2ケ月で10cm以上の褐色ならびに緑色の葉状体へ生長した. 次に, スサビノリ野生株とアサクサノリ緑色変異株の細胞融合による雑種の作出を試みた. 両藻のプロトプラストをポリエチレングリコール(PEG)で処理すると2個から数個が凝集し, 希釈液で希釈することにより, 融合が観察された. PEG処理したプロトプラストは数日間培養すると, 細胞壁再生後, 細胞分裂を開始し, 数週間後にカルスを形成した. 培養を続けるとカルスは多数の単胞子を放出した. これら単胞子を培養すると, 褐色または緑色の葉状体に加えて, 根元が褐色で先端部が緑色のキメラ葉状体が生じた. 今後はこのキメラ葉状体の形態学的ならびに生理学的研究を行っていく予定である.
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