1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560196
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
荒木 利芳 三重大学, 生物資源学部(水産学部), 助教授 (40091368)
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Keywords | ポルフィラナーゼ / βー1,3ーキシラナーゼ / βー1,4ーマンナナーゼ / スサビノリ / アサクサノリ / プロトプラスト / 細胞融合 / キメラ |
Research Abstract |
細菌から調製したβー1,4ーマンナナーゼ、βー1,3ーキシラナーゼ、ポルフィラナーゼを用いて、スサビノリ野生株とアサクサノリ緑色変異株の葉状体から多数の褐色の緑色のプロトプラストを作出した。両藻のプロトプラストをポリエチレングリコール(PEG)で処理すると高い割合で細胞の凝集ならびに融合が観察された。PEG処理して得られた同種または異種の融合プロトプラストおよび融合していないプロトプラストの混合液を培養すると、数日間で細胞壁を再生し、細胞分裂を開始した。数週間経過すると数mmの褐色または緑色の不規則な形のカルスまたは正常な形の幼芽に生長した。さらに数週間培養すると3〜8cmの葉状体へ生長した。これら葉状体は褐色または緑色であったが、その中に仮根部半分が褐色先端部半分が緑色をした1枚のキメラ葉状体(キメラーI)が発見された。培養を続けるとキメラ葉状体の緑色部は黄緑色に変化し、成熟細胞は褐色に変化した。なお、緑色葉状体は成熟しても少し色が白ぽくなるだけで褐色にはならなかった。キメラーIが放出した単胞子からは、褐色または緑色の葉状体に加えて、褐色と緑色からなるキメラ葉状体が多数得られた。これら2代目キメラもまた緑色部が成熟するにつれて成熟細胞は褐色になった。2代目キメラから放出された果胞子を培養すると、褐色または緑色の糸状体へ生長した。また培養中に緑色糸状体の一部が褐色に変化したので、これから殼胞子を集め培養した。その結果、褐色葉状体14%、緑色葉状体47.7%それに加えて褐色と緑色からなる区分状キメラが38.4%と高い比率で生じた。以上の結果から、キメラーIはスサビノリ野生株とアサクサノリ緑色変異株のプロトプラスト融合体から再生した雑種ではないかと推測される。 今後は得られたキメラ葉状体の生理学的性質ならびに遺伝学的性質を解明していく予定である。
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[Publications] Aoki,Takahiko: Nippon Suisan Gakkaishi. 54. 277-281 (1988)
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[Publications] 山口邦子: 日本水産学会誌. 55. 105-110 (1989)
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[Publications] Araki,Toshiyoshi: The Japanese Journal of Phycology(SORUI).