Research Abstract |
各魚類病原菌より特定遺伝子を見付け, それをプローブとしたハイブリダイゼーション法による魚類病原菌の迅速同定法の開発を目的とする. 魚類病原菌Pasteurella piscicidaおよびVibrio anguirallumの染色体遺伝子DNAを抽出し, 各種制限酵素で切断後, その断片をベクターにクローン化した. 得られた種々のサイズのクローン断片DNAを〔α-^<32>P〕dcTPで標識し, 各種魚類病原菌の染色体DNAとの相同性をサザーン, ブロット, ハイブリダイゼーション法により求めた. P.piscicidaあるいはV.anguirallumのクローン断片はその元の菌の染色体とのみハイブリッドを形成した. 次にこれらのクローン断片をプローブとしてV.anguillarumにおいては血清タイプの異なる(O抗原A,B,C,D,E,F,G,H,I型)の代表株, 他のビブリオ種, V.alginolitycus,V.canpbelli,V.fischeri,V.gazogenes,V.parahaemolyticus等の16種および魚類病原菌, Aeromonas hydrophilla,A.salmonicida,Edwardsiella tardaおよびP.piscicidaの各1株のコロニーをニトロセルロースフィルターへ移行し, コロニーハイブリダイゼーションを行ったところ, V.anguillarumのO抗原AおよびH型の株とのみ相同性を示した. 一方, P.piscicidaのクローン断片をプローブとして, 近縁種であるP.multocida,P.haemolyticus,Haemophilus influenzaeの標準株および各種魚類病原菌とコロニーハイブリダイゼーションを行ったところP.piscicidaとのみ相同性を示した. V.anguillarumよりクローン化した特定断片DNAは562塩基対の長さで, そのGC含量は38.8%であった. P.piscicidaよりクローン化した特定断片DNAは692bpで, そのGC含量は39.2%であった. これら特定遺伝子DNAをプローブとしてコロニーハイブリダイゼーション法により魚類病原菌の同定が迅速に行えるようになった. 今後, ビブリオ種あるいは属の共通遺伝子および他の魚類病原菌の特定遺伝子を探索し細菌の迅速同定の開発を行う.
|