1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560202
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡辺 翼 日本大学, 農獣医学部, 助教授 (30095517)
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Keywords | 肝細胞 / 肝臓 / 組織培養 / 細胞培養 / 魚類 / サケ科魚類 / ニジマス / ヤマメ / サクラマス |
Research Abstract |
ニジマスの稚魚とヤマメの孵化直前の発眼卵を用いて, 肝細胞の培養を行った. ニジマスの場合は, 哺乳類の細胞成長因子であるEGFとインシュリンを培養液に添加した実験群で良好な成績が得られ, 肝細胞に類似した大型の上皮性の細胞がよく増殖した. その内の一例(RTL-4)は継代可能となり, 昭和63年3月現在70代まで継代培養されている. RTL-4は1, 2個の仁を有する円型の核を持った上皮性の細胞からなり, 接触阻止を受けて単層で増殖する. 電顕的にも, 肝細胞の特徴である大きな仁を持った円形の核を有する細胞が多かった. RTL-4は, サケ科魚類に強い病原性を有する伝染性膵臓壊死症ウイルスに高い感受性を有していたが, 伝染性造血器壊死症ウイルスに対する感受性は低かった. ヤマメの胚肝細胞の培養は22例行った内, 数例で上皮性の細胞の増殖がみられ継代可能となった. その内の一例(YEL-13)は極めて増殖が良く現在120代まで植え継がれている. YEL-13は円形の核を有する上皮性の細胞が接触阻止を受けて敷石状に単層で増殖する典型的な培養肝細胞の形態と増殖様式を示している. この細胞はサクラマスの染色体数として知られている66個より少ない染色体を有するものが多く, 染色体の欠落が疑われる. また, YEL-13の細胞質ではヤマメ血清に対する抗血清と反応するタンパク質はヤマメ血清のプソイドクロフリンの一つであり, 現在, 単離同定を急いでいる.
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