1988 Fiscal Year Annual Research Report
水産無脊椎動物の鮮度判定指標としての不揮発性アミンに関する研究
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62560209
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
山中 英明 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (20092596)
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Keywords | 不揮発性アミン / プトレシン / 鮮度判定 / ホタテガイ / クルマエビ / 高速液体クロマトグラフ / クロラムフェニコール |
Research Abstract |
クルマエビおよびホタテガイを試料として貯蔵中における不揮発性アミン類の消長を高速液体クロマトグラフを用いて詳細に調べ、さらに鮮度判定指標として如何なる不揮発性アミンが適当であるかを検討した。ホタテガイではプトレシン(Put)が鮮度判定指標として適していた。新鮮肉には検出されないか又は微量であるが、初期腐敗で0.5〜0.7mg/100g検出され、腐敗状態では2.1mg/100gを越えた。クルマエビの場合も新鮮判定指標としてPutが使えた。新鮮肉ではPutは検出されず、初期腐敗で少量(1mg/100g以下)検出され、腐敗すると著しく増加した。VBNもクルマエビの鮮度判定指標として有用であると思われる。初期腐敗時に30mg/100gの値を示した。K値もクルマエビの鮮度指標として使え、魚類よりも初期腐敗時点での値はかなり低く、K値は約30%であった。クルマエビではエキス成分としてアルギニンが多いにもかかわらず、アグマチンの生成がほとんどみられなかった。その理由としてはクルマエビにはアルギニン脱炭酸酵素活性を有する細菌が少ないためであるかもしれない。菌叢に関しては今後の研究課題である。抗菌剤のクロラムフェニコールを用いた実験により、生体アミンを除き、貯蔵中に生成される不揮発性アミンは細菌の脱炭酸酵素によって産生され、筋肉の酵素は関与しないことが明らかとなった。まち、スルメイカの場合、全生菌数が10^3/gのオーダーで、ホタテガイの場合は10^3/gないし10^4/gのオーダーで微量あるいは少量の不揮発性アミンを産生することがわかった。不揮発性アミンが細菌の脱炭酸酵素によって産生され、しかも全生菌数が10^3〜10^4/gのオーダーという新鮮肉においても、これらのアミン類を高速液体クロマトグラフで検出可能な程産生することが明らかとなったので、測定のはるかに容易な不揮発性アミンを全生菌数の代りに鮮度判定指標として応用できる可能性が大きくなったといえる。
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