1988 Fiscal Year Annual Research Report
園芸産地における集団的土地利用管理方式に関する研究
Project/Area Number |
62560217
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Research Institution | Faculty of Horticulture of Chiba University |
Principal Investigator |
磯部 俊彦 千葉大学, 園芸学部, 教授 (60151445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 義明 千葉大学, 園芸学部, 助手 (80210730)
門間 要吉 千葉大学, 園芸学部, 講師 (70009314)
山田 稔 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (00009309)
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Keywords | 集団化 / 組織化 / 集団的土地利用 / ミカン / 沖縄農業 / 有機農法 |
Research Abstract |
この研究の目的は、各々の産地の実情に即した適切な集団的土地利用管理のあり方を提起することである。今年度は、昨年度の実績をふまえて、沖縄野菜産地の継続調査及び工芸作物産地である久米島における土地相続慣行についての調査を実施した。また、さらに愛媛県南予地方のミカン産地における集団化の現状についても別途調査を実施した。そして、この問題について資料文献の収集、関係者との意見交換及び農家からの面接聞き取り調査を行い、それらのデータを基に分析を行った。以下は、その分析結果の概要である。 沖縄県での農地相続は、本土に比して相対的に均等分割的要素が強く現れるケースが多い。しかし、次男以下の相続者の多数は長男等に農地を預託して出稼ぎに行く場合が多く、リタイア後に帰村する。そして農地を返してもらい、必要があれば貯金をはたいて農地を購入し農業に従事する。沖縄農業に高齢専業者の比重が大きいのは、このシステムに起因している。本土の農地一括相続が兼業増大と高地代の原因の一つとなっていることを考えると、沖縄農業のこのシステムは「耕作者へ土地を与える」という原則が、低生産力水準ながらも、それなりに貫かれているといえる。 愛媛県のミカン産地では高齢化と価格低下のために管理不能・荒廃園地が増大している。耕作放棄農家が農地を委託する場合には、一般には中核的農家に貸すのだが、特筆すべきは集団的栽培管理が有機農法グループによって行われていたことである。彼らは、大型共販体制から、はみ出しがちなグループでありながらも地域農業の担い手としての意識を持ち、自由化圧力下での産地再編に力を発揮しつつある。個別化・小マーク化という従来の集団化志向と逆向する動きを示してきたミカン産地の新しい力として今後を注目すべきである。
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