1988 Fiscal Year Annual Research Report
県別土地資本の推計と土地改良の経済効果に関する研究
Project/Area Number |
62560219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荏開津 典生 東京大学, 農学部, 教授 (40011928)
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Keywords | 土地資本 / 土地生産性 / 耕地利用率 / 農業生産 |
Research Abstract |
本年度は前年度において推計された県別の土地資本額を用いて農業生産との関連を分析した。分析結果は以下の通りである。 1.土地資本と農業生産の関係について県別の値を用いて相関分析を行った結果、耕種生産と土地資本との相関係数は高かったが、畜産のそれはやや低かった。耕種生産の結果は妥当なものであるが、畜産について低かったのは土地利用型でない畜産部門の影響によると考えられる。また畑作物と土地資本との相関係数も低く、畑作物・畜産に関して土地資本の効果分析をする場合には、生産増加効果は顕著に現われないことに注意する必要があろう。土地生産力への影響を考察するために、面積当りの値についても同様の計算を試みたが、稲作以外の作物では土地資本がそれを左右するような重大な要因にはなっていないと考えられる。 2.米単収を説明する回帰モデルを計測したが、そこに水田の土地資本額を説明変数に加えた。その結果土地資本は米単収に統計的に有意な影響を及ぼしていることが明らかになった。これは上記に指摘した水田における土地資本の土地生産性増大効果が存在していることを裏付けている。 3.耕地利用率について土地資本を説明変数に含めた回帰分析を行った。その結果畑の土地資本は耕地利用率を高めるように作用したが、水田については逆に低めるような結果となっている。これは、耕地利用率を高めるような汎用田化を目指している現在の水田の土地改良のあり方が問われる可能性があることを示唆している。
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