1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560223
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
工藤 昭彦 秋田県立農業短期大学, 農学部, 助教授 (00073966)
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Keywords | 田畑輪換 / 水田利用方式 / 集団的土地利用 / 農業生産組織 |
Research Abstract |
田畑輪換による水田利用方式を定着させるためには、集団的土地利用を推進していかなければならない。そこで、本稿では、(1)集団的土地利用の実態、(2)集団的土地利用の成立条件、(3)集団的土地利用を支える経営主体像につて検討した。その結果得られた結論は以下のとおりである。 最も広い意味で集団的土地利用を実施している水田面積は、東北地域全体で9万2000haであった。そのうち、コメ以外の作物を計画的に作付している水田面積は5800haであった。コメ以外の作物の大半は、補助金学の高い大豆や麦であった。 つぎに、集団的土地利用を成立させるための経済的条件としては、何らかの奨励補助金が必要であるとの結論に達した。なぜなら、東北地域は水稲の生産コストが低く、コメが最も有利な作物であるため、コメ以外の作物を定着させるには価格補償しなければならないからである。 集団的土地利用を成立させるための経済的条件としては、集落内の農家の利害関係を調整しながら、農家相互の合意形成を可能にする組織の不可欠であるとの結論に達した。こうした組織は、伝来の集落が持っている合意形成機能を必要に応じて農協と行政機関が支援できるような仕組みのものでなければならなかった。 集団的土地利用を成立させるための利用を成立させるための利用主体の条件としては、集落内農家の共通の利益を可能な限り満足させ、しかも自らの利益をも追求しうるような独立した経営組織体の存在が必要であるとの結論に達した。 最後に、こうした経営組織体としては、これまで云われてきたような「大規模農家」、「様々な農業生産組織」、「協業経営」といったものではなく、「ムラ的農企業」あるいは「協同組合的農業とでもいうべき経営組織体を育成すべきではないかとの問題を提起した。
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