1988 Fiscal Year Annual Research Report
干拓地(瀬戸内海沿岸域の土地利用と水利用の再編整備
Project/Area Number |
62560234
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三野 徹 岡山大学, 農学部, 教授 (10026453)
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Keywords | 土地利用 / 水利用 / 土地改良事業 / 都市化 / 混住化 / 用水需要構造 |
Research Abstract |
昨年度に引続き、吉井川下流及び児島湾沿岸地域における水利用と土地利用の再編状況を、土地改良事業との関連と中心に調査を行った。 吉井川下流地域:昭和62年には本事業の最大の課題である倉安川下流地域の系統切り替え工事が完成した。この系統切り替えにともなう用水需要構造の変化を調査分析し、次のような結論を得た。 1.用水系統切り替えにともない反復利用率が大きく変化し、見かけ上の用水需要量の増加が生じた。 2.有効降雨率が見かけ上著しく高くなった。この原因は都市化にともなう排水優先管理によるものと思われる。 3.末端整備が不完全であるために、相変わらず番水慣行などの集団的水管理が見られる。 4.これらの用水需要構造の変化は潜在的に蓄積され、土地改良事業による水路改修や用水系統再編にともなって一気に表面化する。 児島湾沿岸地域:現在干拓地の排水改良を中心にした国営事業が始まったばかりである。本年度の調査結果から次のような結論が得られた。 1.農業的土地利用の変化、地区に畑地化は大きな排水負荷となる。 2.都市的土地利用の進展はついで農業用排水施設に大きな負荷となる。 3.農地の汎用化や都市化の進行によって、洪水排水のみならず常時排水に大きな負荷を生じる。 4.都市化・混住化地域では排水計画を中心に抜本的な基盤整備対策が必要であり、長期的な展望の下に段階的な整備計画が必要がある。 瀬戸内沿岸地域では古くからの開発が進み、水利施設や土地開発に莫大な投資が集積している。近年の土地改良事業は、これまでの農業的土地利用と水利用とは違った視点からの再編にも重要な役割を果たしはじめており、事業制度の新たな見直しが必要な時期にさしかかっている。
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