1987 Fiscal Year Annual Research Report
山腹斜面域における表層土壌特性値の分布性とその洪水流出特性への影響について
Project/Area Number |
62560239
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
瀬口 昌洋 佐賀大学, 農学部, 助教授 (20093974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 治 佐賀大学, 農学部, 教授 (40038295)
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Keywords | 試験流域 / 土壌物理特性値 / 土壌水分拡散係数 / 土壌水分圧 / スケーリング / スケーリング ファクタ / 流出モデル / 流出特性 |
Research Abstract |
昭和62年度の主な研究計画は, 次の3点であった. 1.試験流域で水文データを収集すること. 2.山腹斜面域表層土壌の物理的特性値を測定し, スケーリング ファクタを求め, さらにその確率論的特性を明らかにすること. 3.表層土壌の物理的特性値の空間的分布性を確率論的に評価, 導入した確率-概念流出モデルについて検討すること. まず, 1の研究では, ほぼ所望する水文データが収集された. また, 2の研究では, 試験流域内の26箇所で採土を行い, 土壌物理特性値及びそのスケーリング ファクタを算出した. そして, その確率論的特性について検討した. さらに, 3の研究では, 確率-概念流出モデルを試験流域に適用し, その有用性を検証した. 今回の研究によって得られた主な知見をまとめると, 次のようになる. 1.試験流域における表層土壌物理特性値のスケーリング ファクタは, 平均値0.7〜0.8, 標準偏差0.8前後の対数正規分布に従う. 2.スケーリングは流出発生場の土壌物理特性値, すなわち土壌水分拡散係数や土壌水分圧特性などを統一的に定量化する有効な手法である. 3.確率-概念流出モデルは, 試験流域からの流出量及び表層土壌水分の時空間的分布性を定量的かつ定性的に再現した. したがって, この流出モデルは, 流出発生域の時空間的変動性を満足する. 昭和63年度は, 今回検討した確率-概念流出モデルを用いて, スケーリング ファクタの種々の確率特性(平均値, 標準偏差, 自己相関パラメータ)の下で洪水流出現象のシミュレーションを行い, 土壌物理特性値の空間的分布性と洪水流出特性との関連性について明らかにする計画である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 瀬口昌洋, 渡辺潔: 佐賀大学農学部〓報. 63. 65-81 (1987)
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[Publications] 瀬口昌洋, 渡辺潔, 加藤治: 第32回水理講演会論文集. 32. 37-42 (1988)