1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
着床における胚と子宮内膜上皮の相互認識に関する研究
Project/Area Number |
62560256
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
畜産学(含草地学)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高橋 寿太郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (00004929)
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Project Period (FY) |
1987 – 1988
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Keywords | 着床 / 胚盤胞 / 体外培養 / 子宮内膜上皮 / ラット |
Research Abstract |
哺乳動物胚の着床時における胚細胞と子宮内膜上皮細胞との間の相互認識および着床を誘起する物質についてはほとんど知られていない. 本研究は, 体外培養法と電子顕微鏡学的方法を用いて, In Vitroにおける胚細胞と子宮内膜上皮細胞の細胞間相互形態変化を指標として, 着床のメカニズムを解明しようとするものである. 実験には3〜6ケ月齢のウィスター系ラット, ICR系マウスおよびゴールデンハムスターを用いた. ラットは妊娠4日目, マウスおよびゴールデンハムスターは妊娠3日目の16:00〜22:00に放血屠殺し, 子宮潅流により後期8細胞期胚を得た. 胚は0.3%牛血清アルブミン(BSA)含有ダルベッコ修正培養液で48時間培養した. その結果, マウス胚の胚盤胞への発生率は42/44(95.5%), ラット胚は40/43(97.6%), ハムスター胚は21/51(41.2%)であった. また, 胚の潅流時に, 子宮内膜上皮細胞層を機械的に剥離し, 同様に培養を行い, 経時的にトリパンブルー染色により, 上皮細胞の生存性について調べた. マウス, ハムスターの子宮内膜上皮の機械的剥離は困難であり, 培養12時間では生存性を失っていた. 一方, ラットの子宮内膜上皮細胞は, 培養12時間ではトリパンブルーに染色されず, 生存性を示した. 従って, 胚と子宮内膜上皮の細胞相互関係の観察は, ラットの妊娠5日目の着床前の透明帯消失した胚盤胞と子宮内膜上皮細胞の12時間培養条件下で行った. 0.3%BSA含有ダルベッコ修正培養液中で, マイクロマニピュレーターを用いて, 子宮内膜上皮断片の上に胚盤胞をのせて, 12時間の培養を行ったが, 胚と子宮内膜上皮細胞の接着は全く認められなかった. そこで0.3%フィトヘマグルチニンP含有ダルベッコ修正培養液中で12時間培養を行ったところ, 胚と子宮内膜上皮細胞の接着が認められた. 従って, 培養中の胚と子宮内膜上皮の接着には何らかの物質が不足しているものと考えられた.
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