1987 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓線房中心細胞のS-100蛋白の動態による膵外分泌機構の解明
Project/Area Number |
62560260
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
星野 忠彦 東北大学, 農学部, 教授 (80005595)
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Keywords | 膵臓 / 線房中心細胞 / 線房細胞 / S-100蛋白 / 免疫組織化学 / 緬羊 |
Research Abstract |
膵臓の導管系末端細胞である腺房中心細胞は, 腺終末部を構成する腺房細胞の腺胞面を被覆するように位置している. この腺房中心細胞の機能を知るために, 緬羊の膵臓を用いて, 光顕と電顕によって細胞学的に調べ, また腺房中心細胞に特異的に局在しているS-100蛋白の動態を免疫組織化学によって調べた. 動物は去勢雄11ケ月齢の緬羊を用いた. 採食後1時間と4時間各2頭, 7日間完全飢餓2頭を用いた. 各区とも膵臓のブアン3日間固定試料は光顕と免疫組織化学に用い, グルタールアルデヒド前固定・血酸化オスミウム酸後固定試料は電顕観察に用いた. 免疫組織化学はABC法によって行なった. 区 得られた成績は次のとおりである. 1.腺房細胞の細胞学的観察:採食1時間後では腺房細胞の分泌還は放出期から休止期であった. 4時間後では産出期であった. 飢餓では貯留期であったが, 飢餓による空胞変性と自家食胞が認められた. 2.腺房中心細胞の細胞学的観察:腺房中心細胞は腺房細胞に接着し, 隣接腺房中心細胞も接着していた. これらの接着の所々に鉗合結合が認められた. このことは腺房細胞と腺房中心細胞, 腺房中心細胞間に物質輸送がある可能性が考えられる. 腺房中心細胞は貯留期で最も大きく, 放出期で小さい傾向があった. 3.腺房中心細胞のS-100蛋白の免疫組織化学的観察:腺房中心細胞にS-100蛋白が特異的に反応し, その型は神経由来のB型S-100蛋白であった. 腺房細胞が貯留期にある腺房中心細胞で最も強く, 産生期で中等度, 放出期で最も弱かった. 区 腺房細胞の分泌還と腺房中心細胞の形態およびS-100蛋白の動態とはやや一致しており, これらの成績は腺房中心細胞が腺房細胞の分泌と何らかの関連があることを示唆するものである.
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Research Products
(2 results)