1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560264
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Research Institution | Faculty of Agriculture, Shizuoka University |
Principal Investigator |
水野 秀夫 静岡大学, 農学部, 教授 (30022164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉水 直人 日本大学, 農獣医学部, 講師 (10060120)
森 誠 静岡大学, 農学部, 助教授 (90143411)
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Keywords | 泌乳妊娠動物 / 乳腺分泌機能 / 胎盤性ラクトゲン活性 / 黄体機能 |
Research Abstract |
1.泌乳妊娠動物の血中ホルモン濃度の測定:(1)胚移植による泌乳妊娠動物の効率的作出のための基礎的知見を得ることを目的とし、泌乳及び泌乳妊偽妊娠(後分娩発情時に交尾刺激)マウスの血中プロゲステロン(P)濃度をRIAにて測定した。妊娠17日に心房カニュレーションを装着し、泌乳第1日から連日10μlの採血をした。P濃度は両群とも泌乳初期に幾分高い傾向を示した他はほぼ一定水準で推移し、群間の差は認められなかった。吸乳刺激の継続時には交尾刺激の黄体機能への影響は顕在化しないことを意味するが、離乳時のP濃度を調べる必要がある。 (2)血中ラクトゲン(L)活性をラットNb_2リンパ腺腫細胞を用いる生物検定により測定した。断頭により採血した。非妊娠群では吸乳刺激の有無に拘らず50mg/mlの低水準で移行するのに対し、泌乳妊娠群では非妊娠群の100倍の桁の著しい高い活性を示した。明らかに胎盤由来のL活性と考えられる。 2.泌乳妊娠時の乳腺機能の解析:(1)非妊娠群では吸乳継続によって細胞数(DNA)も分泌機能(RNA/DNA、ラクトース量)も高水準に維持される。泌乳妊娠群では次産分娩前まで乳腺細胞数は非妊娠群より約30%高い水準になるのに反し、分泌機能は著しく低下した。コルチゾール投与はこの低下を有意に改善した。高い血中L活性と考え合せると、泌乳妊娠末期の乳腺は先行泌乳からの維持細胞と次産に向けて増殖してきた新生細胞との混在と考えられ、新生細胞は内因性ホルモンに対する応答性が低く、そのために分泌機能が低下していると推論できる。 (2)この問題解決のため、泌乳期乳腺の培養法を検討した。泌乳乳腺小片をダルベッコ高糖液で95%O_2-5%CO_2下で12時間培養し、約20mg/g乳腺のラクトース合成が認められた。生体内での合成量に比較しかなり満足すべき結果であるが、更に検討の上、泌乳妊娠期の乳腺細胞のホルモン応答性を究明する必要がある。
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