1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560267
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮本 元 京都大学, 農学部, 教授 (00026618)
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Keywords | 家畜卵巣 / 卵巣機能 / グラ-フ卵胞 / 排卵 / 還流培養 / 培養液 / 卵巣組織 / 組織化学 |
Research Abstract |
これまで2年間実施してきた実験では、ヤギ卵巣の還流培養によってグラ-フ卵胞が破裂したのは1件のみであった。このため還流培養装置と培養液の組成に改良を加えた。卵巣を入れている卵巣容器と還流培養液容器を従来は空気中に置いていたが、これらを温水槽中において培養温度(39℃)が一定に保てるようにした。さらに従来の実験では培養液のPHが上昇する傾向にあったので、粉末TCM199に22mMNaHCO_3と5.985/μ1HEPESを加えてPHを7.2〜7.4に保てるようにした。今年度は数々の予備実験と4回の本実験を行なった。グラ-フ卵胞をもった卵巣を還流培養した4回の本実験では還流培養によって卵胞の破裂は認められなかった。しかしグラ-フ卵胞と小卵胞が膨潤した。卵巣の解糖能を検討した。培養開始時と培養6時間後のグルコ-ス量は110.8および79.9mg/100mlであり、乳酸量は1.4および21.6mg/100mlであった。これらの結果から卵巣は6時間の還流培養後も解糖能を維持していることがわかった。またステロイドホルモンの合成に関与している3βーステロイド水酸基・脱水素酵素、グルコ-スー6ーリン酸・脱水素酵素などの活性を組織化学的に検討したが、これらの酵素活性は還流培養によっても低下は認められなかった。光学顕微鏡観察では、還流培養によって結合組織の細胞間隙が大きくなったが、卵胞の顆粒層細胞と卵胞膜内層細胞は培養による差異は認められなかった。これに対して電子顕微鏡観察では、還流卵巣の卵胞顆粒層細胞の間隙が広がり、細胞が収縮した。これらの細胞の核は収縮し不整になり、細胞の変性を示していた。これらの成績から、還流培養装置と培養後の組成をさらに改良すれば、家畜卵巣の還流培養法は卵巣機能の解明と卵細胞の効率的利用をはかるために有効な手段になるであろう。
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Research Products
(2 results)