1988 Fiscal Year Annual Research Report
ふ化過程中の鶏卵からのプロテイナーゼの分離と内在インヒビターによる活性制御
Project/Area Number |
62560285
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
古賀 克也 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70041605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 隆生 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (50041629)
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Keywords | プロティナーゼ / オボムコイド / 鶏卵 / ふ化 |
Research Abstract |
前年度の本研究課題でふ化過程中の鶏卵胚部から卵白内在のovoinhibitor(O.I)をligandとするSepharose affinity chromatog.により初めて少量の活性の弱いproteinaseを単離し性質を調べた結果chymotrypsin様酵素であることを認めた。継続研究としてこれと異なる酵素を分離し諸性質を調べた。鶏卵白から硫安塩析によりovomucoid(O.M)画分を分離し、これからtrypsin-Sepharose affi.chromatog.によりtrypsin阻害活性O.Mを単離した。このO.MをligandとするSepharose affi.chromatog.により、ふ卵8日目の卵50個の胚部の抽出液から少量のproteinaseを分離、本操作を数回繰返して酵素液を得て諸性質を調べた。酵素活性は主としてKunitzのカゼイン消化法で測定した。分離酵素は少量で活性は極めて弱くhr-orderで測定できる程であった。反応至適pHは6.0近傍で前記の酵素(pH、8.0〜10.0)とは著しく異なる。至適温度は42℃近傍で前記酵素と類似していた。安定性は弱くpH6.0の液中40℃までは3時間保持で約40%活性低下し、60℃以上2時間保持で失活した。卵中内在のO.Iでは阻害されないがO.Mでは阻害され、合成基質Benzoy1-Tyr ethyl Esterには作用せずp-Tosyl-Arg-Methy1 Esterを加水分解することからtrysin様酵素と推定された。組成面ではLys,Hisが多くCysが微量であり後者が不安定の要因と推定された。さらに加熱処理により内在inhibitor(O.I,O.M)を失活させた卵白希釈液(C.,4%)を基質として分離した2種の胚proteinaseを作用させると42℃、1〜18時間の分解反応は直線的に進行することが認められ、これらの酵素はふ化過程中卵白タン白質の分解利用に機能していることが示唆され、さらに2種の酵素活性は弱くて内在inhibitorのO.I及びO.Mによって選択的に阻害されることが証明できた。これらの研究結果は「ふ化過程中のproteolysisの内在inhibitorによる制御作用」の証左になるものと思われる。
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