1987 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス神経毒素による神経伝達機構の均質的側面の解析
Project/Area Number |
62560286
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
首藤 文栄 北海道大学, 獣医学部, 助手 (60001533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 周一郎 北海道大学, 獣医学部, 教授 (40001515)
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Keywords | ボツリヌス毒素 / ボツリヌス毒素結合物質 / 毒素受容体 / シナプトゾーム / ADPリボシル化 |
Research Abstract |
ボツリヌス神経毒素の神経筋接合部、またはシナプトゾ-ムにおけるアセチルコリンの放出阻害作用を利用して、神経伝達機構の物質的側面を解析しようと試みた。まず、Ca^<2+>の流入とボツリヌス毒素との関係について検討した。Ca^<2++^<の流入阻害を直接測定することはできなかったが、ボツリヌス毒素により放出阻害が起っているシナプトゾ-ムにカルシウムイオノフォアを与えると、アセチルコリンは放出されることから、Ca^<2++>流入阻害が起っていることは示唆された。しかしながら、この系では、ボツリヌス毒素によって阻害されていた系がカルシウムイオノフォアによって解除されたのかどうかを決めることはできなかった。そこで、ボツリヌス毒素の受容体を分離し、受容体がCa^<2++>関連タンパク質であるかどうかを検討することにした。ボツリヌス毒素は重鎖(分子量約10万)と軽鎖(分子量約5万)の二鎖構造をもっているが、重鎖をパパインで消化すると分子量約5万の結合フラグメントが得られる。このフラグメントは、毒素とシナプトゾ-ムとの結合を阻害し、毒素と一緒に注射すると毒性も阻害する。フラグメントのこの性質を利用して、毒素結合物質を検索した。毒素をシナプトゾ-ムと反応させた後、可溶化し、抗軽鎖抗体を結合させたアフィニティ-カラムに吸着させた。このカラムに結合している物質のうち、結合フラグメントで溶出されるタンパク質は、分子量約8万、5万および2.5万の3種類であった。現在、これらのタンパク質がCa^2++>関連タンパク質であるかどうかを検討している。また、C1型およびD型毒素は神経細胞(培養細胞)の分子量2.6万のタンパク質をADア-リボシル化する。このタンパク質は一種のGタンパク質であることから、アセチルコリンの放出阻害と関連を有するかも知れない。結合フラグメントで溶出される2.5万のタンパク質とリボシル化される2.6万のタンパク質との異同も併せて検討している。
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