1987 Fiscal Year Annual Research Report
吸乳刺激による性腺刺激ホルモン分泌抑制機構に関する研究
Project/Area Number |
62560291
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60092491)
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Keywords | 吸乳刺激 / 泌乳 / CRF / β-endorphin / 副腎 / FSH / LH / Prolactin |
Research Abstract |
昭和62年度は吸乳刺激によるLHとFSH分泌抑制に関与すると予想されるCRF-ACTH-Cortionstoune系について検討した. 実験1.吸乳刺激によるLHとFSH分泌抑制に及ぼす副腎の役割 乳子を8匹に調整した泌乳ラットの泌乳10日に副腎と卵巣を摘出し, そのまま8匹の乳子を哺育させ, 経日的に血中LHとFSH濃度を測定した. 対照群は卵巣のみを摘出した. その結果, 対照群に比べて副腎摘出群では, LH, FSH共に低値で経過し, 明らかな分泌抑制が認められた. このような副腎摘出泌乳ラットにみられたLHとFSHの分泌抑制は, 副腎から分泌されるCorticosteroneが欠如する為に吸乳刺激に伴って放出されるCRFとβ-endorphin(β-E)の分泌が著しく乏進し, その結果として, 視床下部内でLH-RH分泌が抑制されるためであろうと推察された. 実験2.CRF及びβ-EによるLHとFSH分泌抑制 実験1の結果から, 吸乳刺激後に放出される(CRF, β-Eを泌乳ラットの側脳室内に直接注入し, 経時的に血中LHとFSHを測定した. その結果, いずれの投与によっても単一投与の場合には, LH分泌は著しく抑制されたのに対しFSHの分泌抑制は軽度であった. これに対して, CRFあるいはβ-Eを6時間間隔で4回連続投与することにより, LHのみならずFSHの分泌も著しく抑制する事実が判明した. しかし, LHとFSHの分泌抑制パターンには明らかな時間のずれがみられた. この分泌パターンの相違は乳子により吸乳刺激を加えた場合および抗LH-RH血清投与により内因性LH-R4分泌を急激に抑制した場合のパターンと類似した. 以上の結果は, 「吸乳刺激→CRF/β-E分泌乏進→LH-RH分泌減少→LH, FSH分泌減少」の仮説を指示するものであった.
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Research Products
(1 results)