1987 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣中での発育段階を異にする未熟卵胞の選別採取法による卵胞機能の解析
Project/Area Number |
62560294
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
江藤 禎一 宮崎大学, 農学部獣医学科, 教授 (70081510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 昇 宮崎大学, 農学部・獣医学科, 助手 (80150192)
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Keywords | 卵胞培養 / 選別採取法 / 卵胞発育 / 卵胞機能 / 卵胞ステロイド |
Research Abstract |
研究実施に先だち, 研究方法の改善を行った. 一つは回収しうる卵胞数を増やすために酵素処理にdeoxyribonucleaseを加え, 一卵巣からえられる卵胞数を著るしく増やすことが出来た. この結果, 良好な形の卵胞の選択が可能となり当初観察された卵子逸脱は著るしく減少した. 他は培養液中に浸しうる卵胞の小型培養カップを工夫し, 順次卵胞に触れずに新しい培養液に移すことにより単一卵胞について形態の変化と培養液中ホルモン量の変化を直接対比しうる目どをえた. 研究計画は次の如く実施した. 1.培養條件(Ham´s F-10,10%牛胎児血清,37°C,5%CO_295%air以下同じ)下での未熟卵胞の発育形態について, (1)原始卵胞(ステージ1)及び小発育卵胞(ステージ7)を6日間単層及び寒天培養した. コラーゲン培養は寒天培養と培養中大きな差を認めなかったので実施しなかった. 単層培養では両ステージの卵胞の顆粒膜細胞ともシート状に急増殖し, 見掛け上の面積は培養6日間にステージ1及びステージ7ともそれぞれ約300倍, 150倍に増え, 中央に卵子を保持していた. 一方, 寒天培養では両卵胞とも偏平な球状を示めし, 径と厚さから推定される細胞塊の容積は培養期間中ともに約30%縮小したが, その約80%は内部に卵子を保持していた. しかし, 両卵胞とも培養前は円滑な表面を持っていたが, 培養が進むと共に粗放となった. 今後卵子の成熟と受精能を検討すると共に, 細胞塊表面の微細構造の観察が必要と考えている. 計画1(2)及び2(1), 培養卵胞の形態及び機能に及ぼすPMSの影響については, 前記培養カップ使用を意図しているため実施していない. しかしPMS無添加寒天培養においてステージ7の卵胞がestradiol生成能を維持していることを確認した. 計画2(2)新生児卵巣培養では, 培養12日間に渡たりステージ1卵胞は発育し, estradiol前駆体であるandrostenedioneが培養8日目頃(生後8日相当)に一過性に生成されるという興味ある知見がえられた.
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