1987 Fiscal Year Annual Research Report
山羊の培養乳腺細胞における有用物質遺伝子の導入と発現に関する研究
Project/Area Number |
62560311
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
立山 晉 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90041003)
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Keywords | 培養 / 山羊 / 乳汁 / 上皮細胞 |
Research Abstract |
昭和62年度における研究は, 山羊の乳汁に含まれる脱落細胞が培養可能かどうかについて検討を行った. まず, 山羊の乳汁を無菌的に搾乳し, それを軽く遠心して中に含まれる細胞成分を集めて, これをPBSで数回洗浄後, イーグルMEM培地に平板培養した. 培養に当たって, 牛胎子血清の最適濃度を知るため異なった濃度の牛胎子血清を添加した培地を用いて培養した. その結果, 牛胎子血清を含まないもの, あるいは10%及び20%含むものでは脱落細胞はほとんど増殖しないか, しても僅かであった. 一方, 30%及び40%牛胎子血清を含む培地では脱落上皮は良好に増殖した. このことにより, 山羊乳汁由来の細胞が培養可能であることが判明した. それ故, これらの条件のうち, 胎子血清濃度の低い30%の条件を用いて以下の観察を行った. 細胞は培養開始後1-2日で培養血に接着し, 約5日位経過すると数個の細胞からなる小コロニーを形成した. このようなコロニーは日数の経過と共にその大きさを増し, 10-20日後にはシートを形成した. このようなシートを形成する細胞は紡錘型, 立方型及び星型等の種々の形態を示した. 5-6代継代後は主要な細胞組成は長円形と多型性を示す細胞であった. これらの細胞のほとんどは抗ケラチン抗体及び抗アクチン抗体陽性であった. シートを電子顕微鏡で観察すると, 細胞は偏平な核を持ち, 細胞質は伸張していた. これらの細胞には細胞陥合, 微繊毛及び接着装置等の上皮性要素を示す細胞小器官を認めた. カゼイン粒子や脂肪滴等の乳腺の分泌機能を示すような形態的特徴は今回の培養条件においては見いだすことが出来なかった. 今後はこの細胞を用いて乳腺上皮と間質, 特に線維芽細胞との関係を検索C_1さらにin vitroにおける分泌機能を発現させるための条件を検討したい.
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