1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560312
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Research Institution | University of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
阪口 玄二 大阪府立大学, 農学部, 教授 (50081477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 洋一 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20152837)
小崎 俊司 大阪府立大学, 農学部, 助手 (10109895)
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Keywords | ボツリヌス菌毒素 / 分子構造 / レセプター |
Research Abstract |
ボツリヌス菌毒素は、神経終末部に作用し、アセチルコリンの放出を阻害する。毒素は、SS結合で結ばれた2種のサブユニット(H-chain,L-chain)で構成されている。H-chainをさらに蛋白分解酵素で限定分解すると2分されることから、毒素は、L、Hー1、Hー2の3種類のドメインから構成されることが明らかになった。毒素の神経膜への結合は、H-chainが関与することがわかっている。Hー2認識モノクローナル抗体は、毒素の結合を阻害する。L、Hー1は毒素の結合を阻害しない。これらの結果から、Hー2が神経膜への結合を担っていることが予想される。実際、毒素をパパインで限定分解し、HPLCにより高度に精製したHー2を用いて毒素の神経膜への結合阻害実験を試みた結果、Hー2は毒素と同程度の阻害を示し、Hー2が神経膜への結合を担っていることが明らかになった。神経膜上の毒素の結合部位の性状を明らかにするために以下の実験を行った。脳シナプトソームをノイラミニダーゼ処理すると、毒素はシナプトソームに結合しなかった。ガングリオシドを膜内に組み込むと、結合能は部分的に回復した。リシルエンドペプチダーゼ処理シナプトソームに、A型毒素は結合したが、B型毒素は結合しなかった。毒素結合物質を単離するために、種々の条件下で可溶化を試みた。可溶化された物質をさらにリポソームに再封入し、結合実験を行った結果、シナプトソームとの結合と同一の結合様式をとることがわかった。これらの成績から、毒素の膜への結合に、ガングリオシドと蛋白成分が関与していると考えられる。現在、蛋白成分の精製を試みている。
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[Publications] Nishimura,M.;S.Kozaki;G.Sakaguchi: Experientia. 44. 18-20 (1988)
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[Publications] Nukina,M.;Y.Mochida;S.Sakaguchi;G.Sakaguchi: Zbl.Bakt.Hyg.A.268. 220-227 (1988)
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[Publications] Kamata,Y.;S.Kozaki;G.Sakaguchi: FEMS Microbiol.Lett.55. 71-76 (1988)
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[Publications] Kozaki,S.;A.Miki;Y.Kamata;J.Ogasawara;G.Sakaguchi: Infect.Immunity.
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[Publications] Sakaguchi,G.;I.Ohishi;S.Kozaki: "Botulism--Structure and chemistry of botulinum toxin(p.191ー216)In M.C.Hardegree and A.T.Tu(eds.),Bacterial Toxins(Handbook)of Natural Toxins),vol.4" Marcel Dekker,Inc., 473 (1988)
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[Publications] Kozaki,S.;Y.Kamata;M.Takahashi;T.Shimuzu;G.Sakaguchi: "Antibodies against botulinum neurotoxin.Botulinum neurotoxin and tetanus toxin." Academic Press, (1989)