1987 Fiscal Year Annual Research Report
網膜ジストロフィーマウスの発育過程における視物質の分布とその糖化
Project/Area Number |
62570006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
臼倉 治郎 東京大学, 医学部, 助手 (30143415)
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Keywords | 網膜変性症 / 視物質 / 視細胞の発育 / 視物質の糖化 |
Research Abstract |
近交系マウス020/A系には網膜変性症をともなうrdsというミュータントマウスが存在する. このマウスの網膜視細胞は発育初期から変性し, 外節を派生しない. 本研究ではヒトの網膜色素炎のよきモデルとなるこのマウスを用いて, 視物質(オプシン)の合成が発育とともにどのような変化をし, また視細胞のどこに存在するかを, 免疫生化学, 免疫細胞化学により調べた. 網膜細胞膜分画のimmunoblotによる研究では, 正常マウスでは, 生後10日目よりオプシン合成ははじまり, その後, 生長とともにその量は増加する. しかし, rdsマウスでは, 同様に生後10日目よりオプシンは合成されるが15日目頃をピークとして, 徐々に減少し, 20日目以降ではback groundレベルにおちてしまう. また, 全体量も正常マウスにくらべると非常に少ない. 一方免疫細胞化学による研究では, 正常, ミュータントとも生後5日目よりのびたばかりの結合線毛上にオプシンを検出する. 正常マウスでは10日目頃より結合線毛の先端よりラメラ状の外節が形成されはじめ, そこにオプシンの集積が観察される. この傾向は発育とともにより一層強くなる. しかし, rdsマウスでは, 10日目以後も外節は形成されず, オプシンはもっぱら結合線毛に集積するが, それと同時に内節形質膜にも拡散し, その局在は正常とは全く異る線を与えている. また, rdsマウスでは結合線毛の先端に外節が形成されないかわりに, そこから, 形質膜のvesiculationがはじまり, 細胞外への離脱が観察された. そして, 20日目以降ではどこにもオプシンは認めらなかった. ^3Hマンノースを用いオプシンの糖化度を調べた結果, rdsオプシンの方が多くのマンノースを付着させていることがわかった.
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[Publications] 臼倉治郎: 生体の科学. 38. 322-331 (1987)
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[Publications] JIRO USUKURA: Progress in clinical and Biological research. 247. 195-207 (1987)
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[Publications] JIRO USUKURA: Exp. Eye. Res.45. 501-515 (1987)