1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570007
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 順造 岡山大学, 医学部, 助教授 (30093686)
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Keywords | クララ細胞 / 肺 / 終末細気管支 / 細胞骨格 / アクチン / サイトケラチン / 発 生 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
クララ細胞は終末細気管支を中心として広く気道を構成する上皮に存在している。細胞内には滑面小胞体、電子密度の高い顆粒が含まれ薬物代謝や気道内への蛋白質の分泌作用が示唆されている。ラットで発見されたこの細胞内の線維は、この細胞機能の検索に重要な手がかりを与えてくれる。前年度、これらの線維がマウス、モルモット、ハムスターにも存在し、大部分はアクチンであること、一部はサイトケラチンであること、また前年度から今年度にかけてビメンチン、デスミン、ニューロフィラメント、GFAPの存在しないことを免疫組織化学的な方法で明らかにした。今年度、更に詳しく分布を調べるため、ヒト、牛、豚について検索した。材料はそれぞれ岡山大学病院病理部及び屠殺場より提供を受けた。動脈より界面活性剤を含む溶液をペリスタポンプにより潅流し標本を作成し電子顕微鏡観察した。ヒト肺のクララ細胞は不正形の核をもち細胞内線維は牛、豚より多くマウスやラットのクララ細胞に類似していた。線維はしばしば太いBundleを形成し核周囲や核と細胞膜の間を走っていた。一部は接着装置と結合していた。これらの線維の形成時期についてラットを用いて発生学的検索を行なったところ、胎生後期のクララ細胞は大量のグリコーゲンを有しており線維はほとんど観察されなかった。生直後からグリコーゲンは急速に消失し分泌顆粒も観察されるようになり線維の存在も確認できた。ヒトクララ細胞中に滑面小胞体はきわめて少なく線維or多量に存在することは、線維のこの小器官との関連は薄いと思われ、むしろクララ細胞は生直後から成熟することが知られているので、顆粒分泌機能を含めたこの細胞の成熟に関与していると考えられた。この線維が機能発現に伴って特に増加したものか調べるため、胎生後期から経時的にIn situ hybridizationを行ないアクチン遺伝子の発現を検討中である。
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[Publications] Junzo Sasaki.: Okajimas Folia Anat.Jpn. 65. 155-170 (1988)
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[Publications] Takako Nomura.: Okajimas Folia Anat.Jpn. 65. 71-88 (1988)
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[Publications] Junzo Sasaki.: A cta Med.Okayama. 42. 193-200 (1988)
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[Publications] Sadahiro Watanabe.: J.Electron Microsc.37. 305-314 (1988)
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[Publications] Junzo Sasaki.: Cell Struct.Funct.13. 594 (1988)
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[Publications] Sadahiro Watanabe.: Ce ll Struct.Funct.13. 635 (1988)