1987 Fiscal Year Annual Research Report
足の形態と筋線維構成に関する機能形態学的研究(蹠行型, 趾行型, 蹄行型の比較)
Project/Area Number |
62570017
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
木村 忠直 昭和大学, 医学部・第二解剖学講座, 助教授 (70102374)
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Keywords | 蹠行型 / 趾行型 / 蹄行型 / locomotion / 筋線維構成 / 系統発生 / 変動系数 / 相関性 / ホ乳類 |
Research Abstract |
ホ乳類における足の形態は, 足底全体を地面に着地している蹠行型としてヒトをはじめとする霊長目, イヌ科などの食肉目に認められる趾行型およびウシ科, ウマ科などの蹄行型の三形態に分類される. 今回は, このうちでも, そのlocomotionシステムが最も機能分化しているヒトと規則的に高度な走行訓練を受けた競争馬における筋線維細胞の大きさを, 他のホ乳類のdataと共に, 前脛骨筋の筋線維細胞をsampleとして比較検討した結果, 三タイプの筋線維細胞ともヒトを中心とする蹠行型が最も大きく, 特にtonic contractionを示す赤筋線維とplastic contractionを示す中間筋線維では, ヒトのdataが最も大きかった. 次いで蹄行型ののヤギやウマであった. 最小値を示したグループは食肉目イヌ科のキツネ, タヌキとなった. これらの内容を各ホ乳類の生態行動やlocomotionの観点から考察すると, 蹠行型の様にパワフルであるが, その行動様式が緩慢的なものでは, 筋線維細胞が大きい傾向を示し, また持久力や持続的な走行に適応している蹄行型の動物は, 蹠行型次い大きかった. これに対し, 食肉目などの様に敏速な行動に適応している趾行型では, その筋線維細胞は小さい傾向が示された. また, 系統発学的にみて, 筋線維細胞の大きさと体重量との間には, まったく相関性がないことが認められた. 更に筋線維細胞の平均値における変動係数および三タイプ間の比率を分析すると生態行動や運動能と強い相関性が成立することが示唆された. 以上の内容については, 第93回日本解剖学会総会(昭和63年4月2日, 名古屋市立大学医学部)において口演発表することが採択された. 今後これらの筋線維構成とlocomotion, 運動能の関連を一層明確にするため, 目下のところ, ヒトの例数を増すと共に同じ蹠行型のクマ, ウサギおよび趾行型のネコ等の筋組織を定量化するべく準備を遂行中である.
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