1988 Fiscal Year Annual Research Report
足の形態と筋線維構成に関する機能形態学的研究(蹠行型、趾行型、蹄行型の比較)
Project/Area Number |
62570017
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
木村 忠直 昭和大学, 医学部第二解剖学講座, 助教授 (70102374)
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Keywords | 筋線維型 / 赤筋線維 / 中間筋線維 / 白筋線維 / 蹠行型 / 趾行型 / 蹄行型 / locomotion / ホ乳類 / 系統発生 |
Research Abstract |
昭和62年度から引き続き、ヒトを含む5目19種のホ乳類における筋線維を足の形態別に蹠行型、趾行型、蹄行型に分類し、locomotionに関与している下腿骨格筋のうち、前脛骨筋をsampleとし、その筋線維型の局在性や比率、および筋線維細胞の大きさを定量的に分析した結果、例外的なものも認められるが、次のごとき内容が得られた。 1、筋腹横断面積1mm^2にしめる筋線維細胞の数を平均値で比較すると趾行型の食肉目が最も多くなり、1100細胞台であった。次いで蹄行型の偶蹄目と奇蹄目が860細胞台となり、最も少なかったのが蹠行型の齧歯目と霊長目で540細胞台であった。 2、収縮機能の異なる三タイプの筋線維細における比率を単位面積あたりの平均値から、その頻度を求めると、タイプIでtonic contractionを示す赤筋線維肥では蹠行型、趾行型、蹄行型とも30%台で、これに対し、タイプIIで、phasic contractionを示す白筋線維は、三タイプ中で、最も比率が高く、三形態の動物とも40%台であった。更にタイプIIIでplastic contracitonを示す中間筋線維は三形態とも最小値で20%台であった。 3、三タイプにおける筋線維細胞の大きさを、足の形態別で比較すると蹠行型の動物が、赤筋線維、中間筋線維、白筋線維とも最も大きく、次いで蹄行型の動物で、最も小さい値を示したのは、趾行型のイヌ科とネコ科の動物であった。 以上の結果は、各々のホ乳類における骨格筋の機能と形態を反映していることが示唆される。これを足の形態別や生態行動およびlocomotionなどの観点から、系統発生学的に比較検討して、まとまり次第、その一部を、第93回日本解剖学会(1989年4月1日〜3日、宮崎医科大学)総会および第13回国際解剖学会(1989年8月6日〜11日、ブラジル国リオデジャネイロ)において発表する予定である。
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