1987 Fiscal Year Annual Research Report
血小板の脳消化管ペプチドの取り込み能に関する電顕オートラジオグラフィーによる研究
Project/Area Number |
62570018
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大門 建夫 帝京大学, 医学部, 助教授 (40091037)
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Keywords | 脳消化管ペプチド / 血小板 / 血管収縮 / 止血 / オートラジオグラフィー |
Research Abstract |
1.成果:ウサギの血小板とその母細胞である骨髄巨核球について検討した. ^3Fで放射性標識したペプチド5μCi/mlを含む液で37°C1時間生体外で標識し, 化学固定, 脱水, 樹脂包埋, 薄切し型のごとく光顕及び電顕オートラジオグラフィーの標本を作成し次の結果を得た. (1)血管収縮性ペプチドについて. アンジオテンシンIIは血小板及び巨核球ともに細胞質中に積極的に取り込まれ, 貯蔵されることが判明した. 但し, その貯蔵小器管が何んであるかは現在検討中である. ニューロペプチドYは巨核球には取り込まれないが, 血小板中にはいくらか取り込まれた. バゾプレシンは血小板, 巨核球共に取り込まれなかった. (2)血管拡張性ペプチドについて. P物質は巨核球には取り込まれなかったが, 血小板にも取り込まれないようであった. さらに実験を続ける必要がある. (3)その他のペプチドについて. エンケフアリンは血小板には取り込まれなかったが, 巨核球の核内に取り込まれた. 以上の結果より, ウサギの血小板は血管収縮性ペプチドであるアンジオテンシンII及びニューロペプチドYを細胞質内に貯蔵し, 血管壁の障害時にはその部に血栓を形成すると共にアンジオテンシンIIやニューロペプチドYを放出し血管を収縮させて正血に関与することが示唆された. エンケフアリンは血小板中には取り込まれず, 巨核球の核内にのみ存在した. これは他の骨髄中の血球に共通した現象なのでエンケフアリンは核の機能に係っている可能性が有る. 2.今後の研究計画:取り込まれたペプチドはその細胞内貯蔵の場を定量形態学的に検討する. さらに取り込まれなかったペプチドについては, 放射性標識ペプチドの濃度や標本作成などの条件を変化させ実験を行い慎重に確認する. 血管収縮性ペプチドの取り込み能に関して, ウサギ以外の動物や人に一般的に広くみられる現象か否か, さらに系統発生学的に下等動物の栓球の能力についても検討する.
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