1988 Fiscal Year Annual Research Report
血小板の脳消化管ペプチドの取り込み能に関する電顕オートラジオグラフイーによる研究
Project/Area Number |
62570018
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大門 建夫 帝京大学, 医学部, 助教授 (40091037)
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Keywords | 血小板 / 栓球 / 脳消化管ペプチド / オートラジオグラフィー |
Research Abstract |
1.成果:血小板の脳消化管ペプチドの取り込み能について、哺乳類以下の栓球について系統発生学的な検討を形態学的に行った。(1)下等動物の栓球の微細構造について文献的にも知見が少ないので、まず哺乳類の血小板のモノアミン貯蔵器官に相当する構造物が栓球にも存在するか否かを電子顕微鏡で検討した。ニワトリ、シマヘビには電子密度の高い果粒を有する空胞が存在していたが、カエル、イモリ、コイ、サメ、及びヤツメウナギには存在していなかった。(2)そこで電子密度の高い果粒を有する構造物はモノアミン貯蔵器官であるか否かを、^3Hドパミンをモデルとしてニワトリと食用ガエルについて電顕オートラジオグラフイーで検討した。ニワトリの栓球は^3Hドパミンを取り込み、電子密度の高い果粒を有する空胞にアイソトープの存在を示す現像銀が多数存在していたが、カエルの栓球には取り込まれていなかった。(3)従ってドパミンなどのモノアミンの取り込み能は系統発生学的に両生類以下ではその能力を欠き、爬虫類以後に栓球にモノアミン貯蔵器官が出現しその能力を獲得したと考えられたが、脳消化管ペプチドも栓球に取り込まれるとしたらモノアミンと同様の結果が期待された。昨年の哺乳類の血小板ではアンジオテンシンIIが取り込まれたので、^3Hアンジオテンシンをモデルとして食用ガエル、アフリカツメガエル及びニワトリ等の栓球の取り込み能についてオートラジオグラフイーで検討した。予想されたとおりニワトリでは取り込まれたが、カエルでは取り込まれなかった。電顕で観察すると現像銀は主として空胞に分布しており、脳消化管ペプチドであるアンジオテンシンIIはモノアミンと一緒に貯蔵されていると考えられる。 2.今後の研究計画:オートラジオグラフイーでアンジオテンシンIIが取り込まれるのを明らかにしたが、さらに免疫組織化学的に血小板や栓球に通常の状態で存在するか否かを検討する。
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