1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570020
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
猪口 哲夫 久留米大学, 医学部・解剖学, 助教授 (90080556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正浩 久留米大学, 医学部・解剖学, 教授 (50080552)
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Keywords | 走査電顕(SEM) / 精細管周囲筋様細胞 / エストロゲン |
Research Abstract |
過去2ケ年にわたって、哺乳類精細胞の超微形態とそのエストロジェン投与下の動態について研究を行ったが、最終年度に当る本年度は当初計画に示された「精細管周囲平滑様筋細胞の比較解剖学的観察及びその実験条件下の動態」について研究を進めた。即ち、精細管周囲境界幕中に存在する平滑筋様細胞(以下「筋様細胞」と記す)の三次元的構造につき、走査電顕を用いてニホンザル・ラット・ネコを材料として比較観察した。この結果、筋様細胞はラットにおいてはほとんど1層の連続した菲薄な細胞層として精上皮を包んでおり、ネコにおいては1〜2層、ニホンザルにおいては多くは2〜3層(6層以内)を成すが、その各層における個々の筋様細胞は偏平多角形で敷石状に配列していることが解った。さて、エストロジェン投与(estradiol dipropionate,0.25mg/day筋注)によるラット精細管筋様細胞の変化を経時的に光顕、透過電顕、走査電顕を用いて観察した。エストロジェン投与開始後4、8、16、25、32日目に各実験群ラット精巣を固定し対照群のものと共に観察試料を作製した。その結果、4日目では筋様細胞は特記すべき変化を示さないが同細胞の基底膜が肥厚し始める。8日目では精細管径がやや小さくなり始め、16日目になると更に精細管は小径化するとともに、筋様細胞の細胞質は正常のものより薄くなり、基底膜は肥厚し蛇行する。25日目、32日目になると、精細管は更に細径化し、筋様細胞細胞は菲薄偏平なものとなるとともに、敷石状に配列している同細胞相互の接合部が離開していた。精上皮基底部が精細管長軸に垂直の方向に数多くのくびれ込みを示す部位では、萎縮傾向を示す筋様細胞の胞体が精上皮側に楔状にはまり込んでいた。。このように、エストロジェン投与はラット精細管筋様細胞を常に退行変性せしめることが解った。この成果は、平成元年12月、日本電顕学会九州支部総会において発表した。
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