1987 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性小眼球症ラットの外側膝状体核における神経終末の可塑に関する電子顕微鏡的研究
Project/Area Number |
62570023
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大谷 克己 千葉大学, 医学部, 教授 (50009073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 昭栄 千葉大学, 医学部, 助手 (50154472)
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Keywords | 小眼球症 / ラット / 外側膝状体 / 神経終末 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は, 研究材料の小眼球症ラットを兄姉交配により継代育飼することから始まる. そこで, 前年度に引き継き, 本年度も兄姉交配を繰り返し, DJCIIIラットを8代目から11代目まで継代することができた. ラットでは, 視神経は脳幹にある10核に終始する. これらの諸核のうち, 最も多量の視神経繊維を受けるのが外側膝状体核である. この核が視覚領と相互的な結合関係をもつことはよく知られているが, 私どもは本核が, さらに上丘浅層と相互的な結合を有する事を, 本年度において明らかにする事ができた. また, 本研究材料である遺伝性の小眼球症ラットの外側膝状体核が正常のそれの約45%の形成度である事, そこの神経細胞が1〜2割程度小さくなっている事, さらにゴルヂー染色標本ではこれら神経細胞の樹状突起が短い事, また分枝も減少している事をみつてた. そこで, シナプスを始めとする電子顕微鏡レベルでの諸器官に変化がある事が十分に推定できたので, これを証明するための下記のような研究を行った. すなわち, 遺伝性小眼球症ラットのように視神経が全く形成されない時, 外側膝状体核の主細胞となる外側膝状-皮質路の起始細胞に付くシナプスにどのような変化が生ずるかという事である. そこで, 正常標本を電子顕微鏡でみると, 光学顕微鏡によるゴルヂー像からは推測できなかったが, 太い樹状突起をみる事は極めてまれであり, 細胞体の周りには細く分岐した多数の樹状突起細枝をみるだけである. また, この細枝には多数の単一あるいは分葉形の神経終末が付着していた. 他方, 遺伝生小眼球症では細枝が少く, また神経終末にも減少が目立った. しかし, その神経終末が含むシナプス小胞の性質については, さらに検討の必要があった.
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[Publications] S. Sugita, K. Otani & J. Yamada: Exp. Neurol.95. 511-515 (1987)
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[Publications] S. Sugita, K. Otani & K. Tanaka: Exp. Neurol.
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[Publications] K. Otani, A. Tokunaga & S. Sugita: Okajima′s Folia Anatomica Japonica.