1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金関 毅 九州大学, 医学部, 教授 (80021351)
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Keywords | 膀胱直腸障害 / WGA-HRP / 感覚神経 / 自律神経 |
Research Abstract |
膀胱直腸障害に関する基礎研究として, 膀胱および直腸の感覚神経の起始細胞の分布と臓器内における感覚神経の走行について, さらに膀胱を支配する自律神経の起始細胞の分布についてWGA-HRPを用いて検索した. 実験動物としてはサル, ネコおよびイヌを用いたが, 実験結果に明瞭な種差は認められなかった. 膀胱にWGA-HRPを注入すると, 標識細胞は第12胸髄(Th12)から第4腰髄(L4)および第1仙髄(S1)から第1尾髄の脊膸神経節にみられたが, 特にL3とS2の脊膸神経節に多数みられた. 次にこれらの脊膸神経節のうちの2〜3分節の脊膸神経節にWGA-HRPを注入すると, 標識線維は膀胱の平滑筋層に多くみられ, それらの多くは血管とともに走行していた. 標識線維は粘膜固有層にも認められたが, 粘膜上皮に達しているものは少数であった. これらの標識線維は仙髄の脊膸神経節にWGA-HRPを注入した例で最も多く観察された. 上部直腸にWGA-HRPを注入するとTh12からL4およびS1とS2の, 下部直腸にWGA-HRPを注入するとS1からS3の脊膸神経節に標識細胞がみられ, 両注入例共にS2を脊膸神経節に最も多数の標識細胞が観察された. 次にS1からS3の脊膸神経節にWGA-HRPを注入し, 直腸の伸展標本を作成した. 粘膜固有層で二分し, 漿膜側と粘膜側で観察した. 標識線維は粘膜側には少なく, 漿膜側で豊富に観察された. 直腸全長に多数の標識線維がみられ, そられは神経束を形成したり, あるいは一本から数本の神経として走行し, 自由神経終末様構造物も観察された. 膀胱の自律神経では, 膀胱のWGA-HRP注入例で, 下腸間膜動脈神経節に多数の標識細胞がみられ, さらに腰髄部の交感神経幹の神経節にも多数の標識細胞がみられた. 副交感神経系としては仙髄の中間外側核に多数の標識細胞が認められ, 特にS2の中間外側核に多かった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 谷口妙子: 解剖学雑誌. 61(2). 161 (1986)
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[Publications] 谷口妙子: 解剖学雑誌. 62(2). 210 (1987)
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[Publications] 森本正敏: 解剖学雑誌. 62(4). 518 (1987)