1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570039
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
村田 計一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00013798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 定雄 東京医科歯科大学, 難研・神経生理, 技官
伊藤 挙 東京医科歯科大学, 難研神経生理, 助手 (30134737)
堀川 順生 東京医科歯科大学, 難研・神経生理, 助手 (50114781)
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Keywords | 耳音響放射 / 内耳交流通電 / モルモット内耳 / 聴覚受容 |
Research Abstract |
ヒトの耳音響放射が高頻度で見出されるに拘わらず, 実験動物での放射の発生は認められないか, 或いは非常に低率で, これが耳音放射の分析的な解析を阻んできた. 従って当初の先ず第一の目標として, 動物の内耳への交流通電による安定した音放射発生の手技と放射音の精密な計測装置を開発改善し耳音放射の動物モデルを確立し下記の多くの知見を得ている. 1.音響放射の音響学的性質:蝸牛中央階への交流通電により通電電流周波数の音と倍音が外耳道に放射される. これは蝸牛内に非線形性の電気機械変換機構が存在して, 原周波数ならびに高調波歪の機械的振動が発生をして音として外耳に放射されたことを示している. 初めの交流通電と共に別の交流を通電するか, 純音を外耳道に加えると変調歪を発生する. 高調波歪および変調歪は蝸牛内では高次に亘って発生しているが, 下記の音放射の周波数特性のため, 2, 3次の歪の放射は明瞭に認められるが, それ以上のものは放射されない. 第2回転への通電による基本周波数音放射の周波数特性は約3.5kHZを中心として低音部へ約6dB/オクターブ, 高音部へ約36dB/オクターブの傾斜で減衰する. この上限周波数は通電位置の上昇に従って低下し第3回転で約1kHZとなる. 2.音響放射, 聴機能と代謝について:耳毒性の利尿剤フロセマイド投与により一過性にCMの振巾, 聴覚能と共に音響放射に減少し, 約1時間後に回復する. 同様に一時的な酸素欠乏によりCM振巾の低下と平行して音響放射の一過性に音響放射が減少し, その後少し回復した後, 再び不可逆的に, 緩やかに減少して消失する. 此等の事実は通電による音響放射が単なる計測ミスによるアーティファクトではなく代謝によって支えられた音受容機構に密に関与する現象であることを示している.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] TOSHIO MORIYAMA, et al.: Neurescience Research. suppl.5. S14 (1987)
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[Publications] YUTAKA HOSOKAWA, et al.: J. Physiol. Soc. Japan. 49. 466 (1987)
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[Publications] 村田計一, 他: 電子情報通信学会技術研究報告書. SP87 48. 17-23 (1987)
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[Publications] 菅澤正, 他: Audiology. Japan. 30. 209-214 (1987)
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[Publications] 菅澤正, 他: 神経科学学術集会. (1987)