1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570047
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
寺川 進 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (50014246)
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Keywords | 画像処理 / 神経分泌 / 光散乱 / Exocytosis / 内分泌 / クロマフィン細胞 / サイナイス線 / 脳下垂体 |
Research Abstract |
当該年度の目標は神経分泌終末における散乱変化の高分解能2次元観察であったが, これはエビのサイナス腺においては対物レンズ60倍において, また, ラットの脳下垂体後葉においては対物レンズ100倍にて達成できた. これは, 光学系の改良と刺激の繰り返えし頻度を上げたために可能となった. これらの観察によって, 電気刺激に際しての光透過度の変化は, 細胞内の分泌顆粒その物の変化に起因することがわかった. この変化は細胞膜近傍にある顆粒のExocytosisに伴う変化ではなく, 原形質内にある顆粒の状態変化である. 備品として購入したビデオモニターとインスタントカメラはこれらの映像信号を観察し記録するのに用いている. ラットの脳下垂体においては刺激の間中増大していく速い散乱変化に加えて, 刺激終了後4, 5分してからピークに達するような遅い成分が発見された. この第2の成分は非常に大きいのであるが, その時間経過が極めて遅く, 高倍率での画像的観察には成功していない. 低倍率(20倍)では神経終末内の変化に加えて軸索の変化が捉えられた. 光学測定と同時に2分毎に放出されたバソプレシンの量を, ラジオイムノアッセー法により測定し, 散乱変化の時間経過と比べると, 速い散乱変化が実際のホルモン放出とほぼ直線関係にあり, 遅い散乱変化はホルモン放出とは定量的関係をもたないことがわかった. これらより速い変化はExocytosisの前段階としての顆粒の活性化を示し, 遅い変化は分泌活動終了後の細胞内の回復的な活動を示すものと解釈される. ノマルスキー顕微鏡による高分解能観察は, 副腎髄質細胞で成功した. これにより, 刺激時に顆粒同士の接着と膨大化, 及び, 運動性の変化が起ることを見い出した. しかし, これらが散乱シグナルの速い変化, 遅い変化のいずれに対応するのかは確定出来ていない. 現在単層培養細胞を用いての観察を計画している.
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[Publications] S. Terakawa: Brain Research. 435. 380-386 (1987)
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[Publications] S. Terakawa: Biomedical Research, Suppl.(1987)