1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
興奮性バーストニューロンに前庭入力を伝える脳幹中継ニューロンの機能
Project/Area Number |
62570049
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurophysiology and muscle physiology
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 薫 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (50111373)
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Project Period (FY) |
1987 – 1988
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Keywords | 前庭性眼振 / 急速相 / サッケード / 舌下神経前位核 / バーストニューロン |
Research Abstract |
外転神経核の吻側にある興奮性バーストニューロンは, 水平方向のサッケードおよび眼振急速相の速度に比例した発射活動を示し, その速度信号を直接運動ニューロンに伝えることが知られている. 最近, バーストニューロンに対する水平半規管からの興奮性入力は, 舌下神経前位核およびその近傍の背内側延髄網様体にある介在ニューロン(burslor driving neuron BDN)によって中継されることが急性実験により示唆された. 本研究では速度信号の形成に占めるBDNの機能的意義を明らかにするため, ネコ覚醒標本を用い生理的条件下でBDNの活動を解析して以下の知見を得た. 1.頭部回転により前庭性眼振を誘発し, 単・BDNの発射活動と眼球運動との関係を定量的に調べた. BDNは対側へ向かう急速相に先行して著明なバースト発射を示した. また頭部を固定し前庭入力の無い状態で, サッケードに伴う活動を調べたところ, 急速相と同様, 対側へ向かうサッケード時にバースト発射を示した. バースト発射の頻度はサッケードあるいは急速相の水平方向の眼球速度に比例し, この関係はバーストニューロンで既に知られている関係と良く一致した. 以上の結果から, BDNは急速相のみならずサッケードの発現にも重要な役割を果たすことが明らかにされた. 2.バーストニューロンと異なりBDNは固視時, 眼振緩徐相にも, 発射活動を示した. 正弦波回転を用いて前庭入力を与えた時の応答を解析した結果, 緩徐相に見られる活動は頭部速度に比例すること, 固視期の活動変化は視覚性入力によることが示唆された. このことは, 前庭入力によりサッケード入力が修飾される可能性を示唆するものとして重要な知見であり, 眼振形成の機序を考えるうえで興味深い. この点に関しては, 63年度の視覚性応答の解析により更に検討を加えたい.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kitama et al.: Experimental Brain Research.
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[Publications] Ed.: J.C. Whwang, N.G. Daunton and V.J. Wilson: "Basic and applied aspects of vestibular function" Hong Kong University Press,