1987 Fiscal Year Annual Research Report
移植クロマフィン細胞のドーパミン作動性神経細胞への分化メカニズム
Project/Area Number |
62570054
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西野 仁雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (60073730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西条 寿夫 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (00189284)
中村 清〓 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20143860)
小野 武年 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50019577)
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Keywords | 移植 / パーキンソン病 / ドーパミング / クロマフィン細胞 / 分化 / 栄養因子 / Ca電流 |
Research Abstract |
モデルパーキンソン病ラットの〓状核に, 胎仔黒質ドーパミンを細胞移植すると, 運動障害は100%改善される. 一方新生仔副腎髄質細胞の移植では, 運動障害の改善率は低い(0〜30%). 本年度は髄質細胞移植後の運動障害改善率を高めるため, 種々の条件を検討した. 1.移植クロマフィン細胞サスペンジョンの条件:(1)日令の異なる(胎仔, 新生仔, 成熟)ラットの副腎を用いたが, 得られる収量, 移植後の生存等より新生仔(0〜3日)が適当であった. (2)出来るだけ短時間内に副腎を剔出し氷冷する. (3)1回の移植に多数の新生仔(約100匹)を用意し, 細胞密度の高い(10^6個/ l)サスペンジョンを調整する. (4)クロマフィン細胞の生存にはコルチコステロンが必要であるが, コルチコステロンは一方でクロマフィン細胞の神経細胞への分化を抑制する. したがって, 移植細胞の生存率を高めるためには, クロマフィン細胞サスペンジョン中にコルチコステロンがある程度存在する必要がある. 2.移植したクロマフィン細胞が生着・成育すると, (1)大細胞体, (2)瘤状構造をもつ多数の突起, (3)成長円錐, (4)入出力シナプス(0〜5シナプス/細胞)をもち, (5)in vivo diolusis法により回収した灌流液中には, ドーパミンは正常の約50%, DOPAC, HVAは約15%レベルに回復していた. これはクロマフィン細胞が神経細胞に分化したこと, また少くとも一部はドーパミン作動性であることを意味する. 3.培養実験において, ガングリオシド(tGS, 200〓g/ml)はクロマフィン細胞の神経細胞への分化を促進しない. しかし, 膜のCa-電流の増大を起こす(Voltage Clamp法). 以上, 移植クロマフィン細胞は, 一定条件下で神経細胞に分化し, 少くとも10カ月にわたって運動障害を改善することが明らかとなった. 現在, 1.一定期間培養後に移植する, 2.NGFをはじめとする栄養因子と同時に移植する等により, クロマフィン細胞のより高い生存と分化を可能とする条件を検討中である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 西野仁雄, 柴田良子, 小野武平: 日本医師会雑誌. 98. 1269-1275 (1987)
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[Publications] 川村光毅, 西野仁雄: 代謝. 24. 1024 (1987)
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[Publications] 西野仁雄: 医学のあゆみ. 143. 907-908 (1987)
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[Publications] H. Nishi;T. One;R. Shibata;S. Kawamata;H. Watanabe;S. Shiosaka;M. Tohyama;Z. Karadi: Brain Research.
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[Publications] H. Nishi;R. Shibata;H. Nishijo;T. Ono;H. Watanabe;S. Kawamata;M. Tohyama: Progress in Brain Research.