1988 Fiscal Year Annual Research Report
移植クロマフィン細胞のドーパミン作動性神経細胞への分化メカニズム
Project/Area Number |
62570054
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Research Institution | Nagoya City University Medical School |
Principal Investigator |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部第二生理学, 教授 (60073730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
端谷 毅 名古屋市立大学, 医学部第二生理学, 助手 (30172852)
磯部 芳明 名古屋市立大学, 医学部第二生理学, 助手 (70094357)
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Keywords | 移植 / ドーパミン細胞 / クロマフィン細胞 / パーキンソン病 / 尾状核 / 分化 / 可塑性 / ラット |
Research Abstract |
一側黒質のドーパミン(DA)細胞を破壊して作製したパーキンソン病モデルラットの尾状核に、カテコラミン産生細胞(DA細胞、ノルアドレナリン細胞、クロマフィン細胞)を移植し、運動障害の改善、移植細胞の生着およびこれらに対するガングリオシドの作用を明らかにした。 1.DA細胞を移植すると、90%以上の動物で運動障害が回復した。移植部には多数のチロシン水酸化酵素(TH)陽性細胞が生着し、宿主細胞とシナプス連絡を形成した。microdialysis法で調べると、DAはほぼ正常レべルに、代謝産物(DOPAC、HVA)は数10%レべルに回復した。 2.ノルアドレナリン細胞の移植では、約40%の動物で運動障害が回復した。少数のTH陽性細胞が移植Trackの周辺部だけに生着し、これらはドーパミンβ水酸化酵素陰性であった。DAは正常の約50%レべルに、DOPAC、HVAも数10%レべルに回復した。運動障害の回復は、DA細胞の破壊2〜3週間後に移植を行うと最もよく(40%の動物が回復)、破壊10〜15週間後の移植ではよくなかった(約10〜20%の動物が回復)。したがって黒質DA細胞の破壊2〜3週間後に、尾状核内に何らかの栄養因子が出現している可能性があり、現在その抽出を急いでいる。 3.クロマフィン細胞の移植では、0〜30%の動物で運動障害が回復した。神経成長因子(NGF)、インターロイキン-6、ガングリオシドの局所および全身投与によっても障害の回復は促進されなかった。したがって移植細胞をとりまく環境条件(前もって局所に破壊巣をつくり、アストロ膠細胞の活性化や内在性栄養因子の増量を計るなど)を検討する必要があり、現在研究は継続中である。 4.ガングリオシドは移植DA細胞の成長を促進することが明らかとなり、中枢性栄養因子の有力候補物質である。
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[Publications] Nishino,H.;Ono,T.;Shibata,R.;Kawamata,S.;Watanabe,H.;Shiosaka,S.;Tohyama,M.;Karadi,Z.: Brain Research. 445. 325-337 (1988)
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[Publications] Nishino,H.;Oomura,Y.;Karadi,Z.;Aou,S.;Lenard,L.;Kai,Y.;Fukuda,A.;Ito,C.;Min,B.I.;Salaman,C.P.: Brain Res.Bull.20. 839-845 (1988)
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[Publications] Nishijo,H.;Ono,T.;Nishino,H.: Neuroscience. 8. 3556-3569 (1988)
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[Publications] Aou,S.;Oomura,Y.;Nishino,H.;Nakano,Y.;Lenard,L.: "Regulatory Roles of Opioid Peptides" VCH, 385-399 (1988)
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[Publications] Nishino,H.;Shibata,R.;Nishijo,H.;Ono,T.;Watanabe,H.;Kawamata,S.;Tohyama,M.: "Progress in Brain Research" Elsevier, 521-525 (1988)