1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570063
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
竹内 昭 順天堂大学, 医学部, 教授 (70052959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 加代子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00053091)
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Keywords | グルタミン酸 / 脊髄スライス / 幼弱ラット |
Research Abstract |
甲殻類神経筋接合部ではL-グルタミン酸が興奮性伝達物質として同定されている. 一方脊椎動物の中枢神経系では, 酸性アミノ酸が興奮性伝達物質の有力な候補であるが, まだ確定に至っていない. 特にグルタミン酸とアスパラギン酸は作用, 分布などがよく似ているので, どちらが実際に伝達物質として働いているか決定するのは困難である. この問題を解決するため昨年度の伝達物質放出実験に続いて次の実験を行った. 新生ラットの脊髄から200μmのスライスを作り, スライドグラス上に固定して酸素で飽和した液で灌流する. 0.7MKClにLucifer Yellowを加えた液をつめた微小電極を細胞に刺入し, 微小電極から電流を流し活動電位が発生するのを確かめたのち, 色素を細胞内に注入しておく. 二連微小電極にL-グルタミン酸とL-アスパラギン酸をつめ, これにもLucefer Yellowを加えておくと, 神経細胞と電極を蛍光顕微鏡下で直視することができる. 二連電極を直視下に細胞に近づけ, アミノ酸を電気泳動的に与えて膜電位の変化を記録し, また細胞と電極の位置を写真撮影する. グルタミン酸とアスパラギン酸を神経細胞に限局して与えると, 多くの細胞でアスパラギン酸の脱分極はグルタミン酸の半分以下であった. 灌流液中のMgを除くと脱分極は増強し, またはNMDAレセプターのアンタゴニストであるPPVを加えると, 脱分極は減少した. いずれの場合にもグルタミン酸もアスパラギン酸も同じ程度の変化を示した. この結果はNMDAレセプターがグルタミン酸とアスパラギン酸とを特に区別しないことを示唆する. また直視下にグルタミン酸を細胞体と樹状突起に限局して与えると, 脱分極の値は両者とも略同じであった. 顕微鏡下で物質の拡散する範囲が推定出来るが, 樹状突起の直径は細胞体に比べると格段に小さいので, グルタミン酸レセプターの濃度は樹状突起の方がかなり高いと推定される.
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Research Products
(1 results)