1987 Fiscal Year Annual Research Report
炎症反応における生理活性アミンの動態と意義に関する薬理学的研究
Project/Area Number |
62570080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 康男 東北大学, 医学部, 講師 (50005039)
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Keywords | 炎症 / 肝障害 / ヒスタミン / ヒスチジンデカルボキシラーゼ / セロトニン / インターロイキンー1 / 腫瘍懐死因子 / エンドトキシン |
Research Abstract |
マクロファージおよびリンパ球を刺激するいくつかの物質は, 組織(肝, 肺, 脾, 血液)のヒスタミン(H)を増加し, 又, 肝ではセロトニン(5-HT)も顕著に増加させることをすでに報告した. Hの増加はその合成酵素(ヒスチジンデカルボキシラーゼ)の誘導による. 以上の知見, Hおよび5-HTの動態が細胞性免疫応答, 即ち, 遅延型炎症反応と密接に関連することを示唆する. Hと5-HTは炎症のメディエータとして極めて重要であり, その動態を追求することにより複雑な遅延型炎症反応の機序を明らかにすることが本研究の目的である. 遅延型炎症は, アレルギー, 感染症, 移植免疫, 発癌機構等とも密接に関連する. エンドトキシン(LPS)は肝障害の原因物質として重要視されている. 本年度はLPSによる肝での5-HT増加の機序を検討した以下の知見を得た. (1)5-HT合成粗害剤はLPSによる肝5-HT増加を抑制しない. (2)レセルピンで5-HTを涸渇したマウスでは肝5-HT増加は起こらない. (3)LPSにより血液, 肺, 脾の5-HTが減少し, この減少は, 経時的に肝5-HT増加と対応する. 以上の知見は, 血中の血小板, 肺, 脾より遊離された5-HTが, 又は血小板そのものが, 肝に蓄積されることを示唆する. この様な機序で蓄積した5-HTが上述のH強力作用し, 肝障害発現の一役を担うものと思われる. 63年度予定の課題についても研究に着手し, 以下の知見を得た. LPSがマクロファージを刺激し, インターロイキンー1(il-1)および腫瘍壊死因子(TNF)を産生することが知られている. IL-1様因子がLPS同様の上記反応を生じることはすでに報告した. 遺伝子組み換え技術により得られたIL-1およびTNFがヒスチジンデカルボキシラーゼを誘導し, 又, 肝5-HTを増加することを確認した. これらの知見は遅延型炎症反応の研究に新しい展開をもたらすものと思われる.
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[Publications] 遠藤 康男: British J. Pharmacol.90. 161-165 (1987)
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[Publications] 遠藤 康男: Japan. J. Pharmacol.46(SUPPL.). 273 (1988)
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[Publications] 遠藤 康男: J. Immunol.