1988 Fiscal Year Annual Research Report
細動脈レベルにおける腎循環調節機序-輸出細動脈における酵素活性の相違-
Project/Area Number |
62570089
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
安部 陽一 香川医科大学, 医学部, 教授 (10047227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 俊晃 香川医科大学, 医学部, 助手 (80179879)
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Keywords | 腎循環 / 単離輸入細動脈 / サイクリックAMP / 輸出細動脈 / グルカゴン / アデノシン / 自動性調節 |
Research Abstract |
腎血流量や系球体濾過量は、系球体前後に位置する2つの抵抗血管-輸入細動脈と輸出細動脈-により調節される。多くの血管拡張薬は、腎血流量を増加させるが、糸球体濾過量には影響を与えない。しかし、グルカゴンやイソプロテレノールのようにサイクリックAMP(CAMP)産生を刺激するものは、血流量と同じく糸球体濾過量も増加させる。そこで、本年度の研究は、単離した細動脈でのCAMP産生量と血管拡張の関係およびin vivoの系に於いてこれら刺激の腎内血管作用部位を検討した。 1)単離輸入細動脈:アデニレイト・サイクラーゼ刺激剤であるフォルスコリンは、輸入細動脈を強く拡張させること、次いで、輸入細動脈のCAMP産生量と拡張度の間に正の相関を得た。 2)In vivoの実験:ペントバルビタール麻酔イヌの腎動脈に、内因性の腎血流調節因子とされるグルカゴン、アデノシンなどを異なる腎動脈左下で注入し、腎血流量、糸球体#過量の変化からこれらの因子の腎内血管作用部位を検討した。すなわち、自動性調節の限界灌流圧である75mmHgでは、輸入細動脈がほぼ完全に拡張した状態である。しかし、輸出細動脈の拡張度は、正常圧と大差がないため、この圧で腎血流量に影響を与えるものは輸入細動脈に、血流量を増加させるものは輸出細動脈あるいは両細動脈に作用すると考えられる。グルカゴン(0.5μg/kg/min)は、正常圧で50%の血流量増加、低灌流圧では全く血流増加をしめさなかった。アデノシン(20μg/kg/min)は、正常圧、低灌流圧ともに50%の血流増加を示した。グルカゴンとアデノシンを同時に与えると相加作用が観察され、正常圧で100%、低灌流圧で50%の血流増加があった。以上の結果から、グルカゴンは輸入細動脈を、アデノシンは輸出細動脈を選択的に拡張させると推測した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Abe,et al.: Europ.J.Pharmacol.141. 219-224 (1987)
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[Publications] Y.Abe,et al.: Arch.Int.Pharmacodyn.292. 237-247 (1988)
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[Publications] S.Kimura,;Y.abe,et al.: J.Pharmacobio-Dyn.11. 430-437 (1988)
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[Publications] A.Yamamoto,;Y.Abe,et al.: Biochem.Biophys.Res. Commun.155. 1452-1458 (1988)
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[Publications] A.Yamamoto,;Y.Abe,et al.: Am.J.Physiol.255. E437-E441 (1988)
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[Publications] T.Tamaki,et al.: Am.J.Physiol.
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[Publications] Y.Abe,at al.: "American Society of Hypertension Symposium Series Vol.1 Biologically Active Atrial Peptides" Raven Press., 398-401 (1987)