1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570092
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小川 靖男 順天堂大学, 医学部, 教授 (50103841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国広 なごみ 順天堂大学, 医学部, 助手 (50133335)
|
Keywords | スキンドファイバー / Ca^<2+>感受性 / トリフルオペラジン / クロルプロマジン / W-7 / メリチン / カルモジュリン阻害薬 |
Research Abstract |
昨年度にカルモジュリン拮抗薬として知られているトリフルオペラジンがカエル骨格筋より調製したスキンドファイバーのCa^<2+>依存性張力発生においてそのCa^<2+>感受性を亢進させること、この効果は当薬物のトロポニンCのCa^<2+>親和性増強作用だけでは説明されないこと、その1/2最大効果に必要な濃度は約20μMで、カルモジュリン拮抗薬としてのKi値に近い値であるが、このCa^<2+>感受性亢進作用はカルモジュリンの阻害を介する効果ではないこと等を明らかにした。今年度はこの結論を確かめるため化学構造的に異る三種のカルモジュリン阻害剤についてスキンドファイバーのCa^<2+>感受性がどのように影響されるかを検討した。まずトリフルオペラジンと化学構造的に同類(フェノチアジン誘導体)のクロルプロマジンについて検討したところ、同様のCa^<2+>感受性亢進作用がみられ、その1/2最大効果は30μMないしそれより高濃度で得られる。一方、ナフタレンスルホンアミド誘導体のW-7はカルモジュリン阻害薬としてのKiはクロルプロマジンに匹敵するが、Ca^<2+>依存性張力に対してはごくわずかの促進作用しか観察されなかった。また26ケのアミノ酸よりなる強力なカルモジュリン阻害薬であるメリチンはそのKi値の1000倍以上の高濃度を用いてもスキンドファイバーのCa^<2+>依存性張力には影響がみられなかった。蛋白分解酵素阻害剤を併用しても結果には差がなかった。以上のことは骨格筋筋原線維のCa^<2+>感受性の変化はカルモジュリンを介するものではないことを支持する。この成果の一部は第3回筋収縮のエナジェティクス国際シンポジウムで報告した。本研究を遂行しているうちに張力発生とそれに対応するATP分解との間に実験条件によっては解離がみられることに気付いたので、同一標本を用いて、張力とATPaseとを同時に測定することを検討している。この成果の一部は第62回日本薬理学会総会で発表する予定である。
|
-
[Publications] Ebashi,S.;Ogawa,Y.: Handbook of Experimental Pharmacology. 83. 31-56 (1988)
-
[Publications] Kurebayashi,N.;Ogawa,Y.: J.Physiol.403. 407-424 (1988)
-
[Publications] 小川靖男,原藤光: 蛋白質・核酸・酵素. 33. 2043-2050 (1988)
-
[Publications] Kurebayashi,N.;Ogawa,Y.: Calcium Signal and Cell Response,ed.by Yagi,K.and Miyazaki,T.,Japan.Sci.Soc.328-331 (1988)
-
[Publications] 小川靖男: ぶんせき. 2号. 111-118 (1989)
-
[Publications] Ogawa,Y.;Kurebayashi,N.: Muscle Energetics,Alan R.Liss,Inc.