1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570092
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小川 靖男 順天堂大学, 医学部, 教授 (50103841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国広 なごみ 順天堂大学, 医学部, 助手 (50133335)
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Keywords | スキンドファイバ- / ATPase活性 / 張力 / Ca^<2+>感受性 / カフェイン |
Research Abstract |
トリフルオペラジン、カフェイン等の薬物による筋原線維のCa^<2+>感受性の増強効果について検討しているうちに張力の変化とATPase活性の変化とが必ずしも平行しないことが明かとなった。しかしこれらの結果は張力は等尺性に、APTase活性は等張性に測定されたので、条件が異なるためかもしれない。そこで同一標本を用いて張力とATPase活性とを同時に測定し、薬物によりどのように修飾されるかを検討した。モルモットまたはラット骨格筋速筋を用いた。等尺性張力は張力トランスジュ-サ-を用いて測定し、ATPase活性は生成されたADPを共役酵素反応を用いてNADHの減少として測定した。mechanically skinned fiberを界面活性剤であるCHAPS,1%で処理すると筋小胞体のATPase活性を完全に除去しうること、また筋小胞体ATPase活性の全ATPase活性における割合は標本の処理条件により異なるが、新鮮なmechanically skinned fiberでは全活性のうち高々5%にすぎないことが明かとなった。pCa4.5におけるATPase活性はmyosin headあたり22℃で約2s^<-1>と評価され、報告値とよく合致する。pCa4.5の張力、ATPase活性を1として種々のCa^<2+>濃度での両活性を相対値で表すと筋節長2.5μmではATPase-pCa曲線は張力-pCa曲線よりpCa軸に沿って低Ca^<2+>濃度側にあり、両者は合致しなかった。筋節長3.0μmでは張力-pCa曲線のCa^<2+>感受性が増し、pCa軸に沿って左方へ移動した。一方ATPase-pCa曲線は筋節長を変えてもあまり変化せず、結果的には両者の差が不明瞭になった。張力とATPase活性の関係には筋節長が重要な因子となっていることを示唆する。25mMカフェインは張力のCa^<2+>感受性を増し、最大張力を低下させる作用を有するが、ATPase活性に対しても同様の作用を示した。他の薬物の効果を検討するなど、この研究を更に発展させるにはcaged-ATPを用いたflash-photolysisと急速凍結反応停止法の併用が必須である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小川靖男: "細胞内情報伝達物質としてのカルシウムイオン" ぶんせき. 1989(2). 111-118 (1989)
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[Publications] 小川靖男: "細胞内カルシウムイオン測定のためのCa^<2+>指示薬(総論)" 生体の科学. 40. 452-455 (1989)
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[Publications] 呉林なごみ: "骨格筋筋原線維の等尺性張力とATPase活性の同時測定" 生物物理. 29. S58 (1989)
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[Publications] Kurebayashi,N.: "Relationship between tension development and ATP hydrolysis by skinned skeletal muscle fibers and its modification by drugs." Jpn.J.Pharmacol.49. 278P (1989)
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[Publications] Kurebayashi,N.: "Relationship between tension development and ATP hydrolysis by skinned skeletal muscle fibers and its modification by drugs(II):effect of Triton X-100." Jpn.J.Pharmacol.,in press. (1990)
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[Publications] Ogawa,Y.: "Modulation by drugs of the relationship between calcium binding to troponin C and tension.in Muscle Energetics ed.by Paul,R.J.,Elzinga,G.& Yamada,K.," Alan R.Liss,Inc., 75-86 (1989)
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[Publications] Ogawa,Y.: "Cooperativity in calcium binding and calcium dependent reactions.in Calcium Protein Signaling ed.by Hidaka,H.," Plenum Press, 205-214 (1989)